5−4−5 今後の課題

高山市に近接する牧ヶ洞断層の性格を明らかにすることは,地域防災計画上重要な事項と考えられる。今回の空中写真判読と現地調査で,断層の活動性(最終活動時期,再来周期と単位変位量等)について明らかにできうる可能性のある地区が,下記の2地区で認められた。

@清見村牧ヶ洞(以下県営種畜場付近と呼ぶ):扇状地面に変位を与えている可能性のある低崖が認められた。

A清見村大倉滝北の小盆地:分離した小丘の連続,水系の右屈曲と低崖の存在。

両地区で今回の調査で明らかにできなかった事項は次のとおりである。

@県営種畜場付近では多少なりとも人工改変がなされており,低崖が断層によるものか否か現時点では確証が得られていない。

A大倉滝北の小盆地では,谷底堆積物の状況の他,トレンチの掘削を行う場合に植林の有無と掘削重機の可搬性等について再度確認が必用である。

今後上記の両地区あるいは一方において,下記の手順で詳細調査を行うことが望ましいとされる。

@低崖を挟む地形面の詳細な区分と断層崖であるか否かの調査を実施する。

A断層崖と判断される場合,地形測量を行い累積変位量の見積もるとともに,活動履歴を明らかにすることができる可能性の高いトレンチ候補地点の絞り込みを行う。

Bトレンチ掘削調査を行い,活動履歴や単位変位量などについての評価を行う。