6−5 地層の対比

ボーリング地点は、反射法弾性波探査の結果、池田山断層の下盤側を構成する地層が連続して分布する地点にあたる。位置的には、反射法弾性波探査のほぼ東側端部に相当する地点である。ここで認められる地層と濃尾平野の地下層序(表6−4図6−5参照)を対比した。図6−6に伊勢湾周辺地域における氷河性海面変動曲線(桑原ほか,1982)とボーリング結果の対比を示す。

1) 深度10.00〜10.55m間には5〜8pの層厚で2枚の有機質シルトが認められた。14Cによる年代値は8220±70y.B.Pが得られた。この有機質シルトの分布深度と東海三県地盤沈下調査会(1985)によるボーリング地点付近を通過する南北方向の地質断面図(図6−4)とを照合すると、南陽層と第一礫層の地層境界に一致する。このことと年代値から深度10.55m以浅の砂礫層は南陽層に対比される。

2) 深度43.00m〜44.70mには有機質シルトが認められた。ラミナが発達した泥層である。この泥層と1)で述べた文献資料とを照合すると、この層準は、第一礫層と熱田層の地層境界に一致する。この有機質シルトの分布標高と既存文献資料との整合性から判断して、本層の上位は揖斐川により形成された扇状地堆積物と最終氷期海面最低下期に形成された河床礫(第一礫層)で構成されているものと推定される。1)で述べた、深度10.55m以深の砂礫層は第一礫層に対比される。

また、熱田層の形成は、土質工学会(1988)によると約4万年前までとされており、このことと得られた年代値及び花粉分析結果から、本層は熱田層上部の最も上位の地層に対比される。

3) 深度104.00m〜104.60mにはオリーブ黒色を呈する礫混り粘土が認められる。この粘土層の層準は、既往ボーリングを集積した地質断面図から熱田層と第二礫層の地層境界に相当する。本層が分布する海抜高度(TP−89m付近)を地形に沿って反射法弾性波探査測線まで延長すると、そこには明瞭な反射面が認められる。このことと、既存ボーリングとの関係より、深度104.60m以深の礫径の大きい砂礫層は第二礫層に対比される可能性が高い(図6−7参照)。

表6−4 濃尾平野の地史編年(坂本ほか,1984)

図6−5 調査地周辺の地下断面

(濃尾平野の地盤沈下と地下水,東海三県地盤沈下調査会,1985)

図6−6 伊勢湾周辺地域における氷河性海面変動曲線(桑原ほか,1982)とボーリング調査結果の対比

図6−7 池田山断層東側の地層の分布状況