3−1 池田山断層沿いの地形面区分及び断層変位地形

池田山断層沿いに分布する地形面は、分布高度・分布形態・地形面の切り合いの関係などに基づいて、T面〜W面に区分される。地形区分図を巻末に添付する。

各地形面の特徴を以下に述べる。

・T面:高度140〜50m 程度に分布する河成面

この地形面は、河成面の特徴を有しているが、一部で扇状地性の堆積面も認められる。T面には池田山断層による断層変位が認められる。また、この面は後述するU面とV面に切られ、W面に覆われることから、調査地域では最も古い面と見なされる。東郷(1980)はこの面を最終氷期に形成された地形面に対比比している。

・U面:高度80〜70m に分布する河成面

この面は、上野付近のT面の周囲に局所的に分布する。T面との比高が小さいことから形成時期は、V面よりもむしろT面に近いと推定される。また、T面を覆いV面によって覆われている。

・V面:高度120〜30mに分布する扇状地面

この扇状地面は、池田山断層に沿って分布する山麓合流小扇状地面である。V面はT面とU面上を被覆し、W面に覆われる。V面は池田山断層によって断層変位を受けている。全体的に扇面は開析を受けていない。

・W面:扇状地上に形成されている土石流堆積面

本面は断層変位を受けていないため、形成時期は非常に新しいと推定される。特にV面と関わりが深く、このW面は扇央から扇端にかけて天井川となっている。粕川南部の舟子地区では、W面が粕川扇状地面を緩やかに覆い、T、U、V面より形成期が新しいことが指摘される。

空中写真判読結果と現地調査から、池田山断層と地形面の関係について以下に要約する。

1) 池田山断層は山地と平野の境界に位置する北北西−南南東方向の断層である。

2) T、U、V面まで池田山断層に伴う低断層崖が認められる。

3) W面には低断層崖が認められない。

4) 低断層崖の比高はT面で約10m、V面で0.5〜4mとなり、地域的な差が認められる。