4−8 原町市大谷地区

空中写真判読によると,原町市大谷においては双葉断層の延長部に高低2段の扇状地性平坦面が広く分布している(図4−35) 。

これらの扇状地性平坦面のうち,低位の平坦面については,風成ローム層下部から大山倉吉軽石層(約5万年前)が検出されることから,約5万年前あるいはそれより若干前に形成されたものと判断される(図4−36) 。また,高位の平坦面については,一部で風成ローム層下部で安達太良−岳軽石層(約12万年前)を挟在することが確認されていることから,その形成年代は約12万年前以前と考えられる。

これらの高低2段の扇状地性平坦面には,いずれもリニアメントは認められない。低位の平坦面においては,東京電力曹ノより,断層の推定位置を挟んだその両側の6地点で堆積物の上面及び火山灰層の確認が行われている(図4−35図4−37) 。その結果によると,断層の両側で扇状地堆積物上面及びその上部を覆う風成ローム層中の大山倉吉軽石層,姶良Tn火山灰層(約2.5万年前)等の層準に高度の不連続がないことが確認されている(図4−37) 。

これらのことから,本地区においては,少なくとも約5万年前以降における双葉断層の活動はないものと判断される。