4−4−4 測定結果

各測線について取得された特徴的なショット記録を図4−7−1図4−7−2にまとめて示した。

< Line−1 >  

 測線を国道399号線が横切っており、ダンプカーや大型トラックの通行がノイズ源となった。幸いなことに本観測2日間の内1日が日曜日であり、その日は、大型車両のノイズを免れる事ができた。また、測線はリンゴ園の際を通っており、リンゴの収穫時期とも重なり、鳥害対策の空砲がノイズ源となった。この音がランダムに鳴るため、記録に混入することがしばしばあったが、混入した記録をキャンセルすることで対処したため進捗や記録の質に重大な影響を及ぼさなかった。

 本測線は直線性が良く標高差もほとんどなく、受振器スタンドの使用箇所も少ない等の好環境下にあったことから、最大オフセット 935 m(188 ch)に至るまで良好な記録が得られた。反射波は1秒付近にまで明瞭に認める事ができ、一部のファートレースにおいてはそれ以深のものも見られる。表層の速度は約2000m/sである。

< Line−2 >

 全長約300mの飯坂トンネルを通る測線で、ダンプカー,大型トラック,観光バスなどの大型車両やトンネル内(Loc.45〜Loc.112の受振器)ではインパクタ発震の反響音(高周波)が主なノイズ源である。トンネル内を除き、道路が脆弱そうであり、発震は6回スタック後若干移動して更に6回スタックし合計12回で実施した。トンネル南側では、無線の交信状態が悪く、スタート信号をインパクタが受けなくなったが、観測車を移動する事で対処した。

 トンネルより北側での発震では、トンネル内の南側の受振器のS/Nが悪くなっている。本測線の両端に河川があり岩盤の浸食が見られ、露頭には厚い堆積層は確認されない。また、測線上の一部に起伏が存在するが地表条件の極端な変化はないことから、堆積層は極薄いものと思われる。モニタ−記録上では、0.5秒位まで反射波が見られる程度であり、堆積層が薄いことを反映している結果と考えられる。表層の速度は約2400m/sである。

両測線の記録とも、初動はほぼ全トレースに渡って捉えられている事等から、本調査では比較的良好なデータが取得されたと評価できる。