(1)国見町森山地区精査結果

この地区では断層の北西側では梨平層の軽石質凝灰岩によって形成される丘陵地が分布し、平野部はLU面の分布域となっている。丘陵地を刻む谷にはLT面、LU面が分布しさらに河川沿いにはLV面や沖積段丘面が見られる。LT面は断層の南東側には分布しないがLU面以下は断層を横断して分布しており、LU面には明瞭な変位地形が見られるがLV面では不明瞭となり、沖積面では変位は見られない。

丘陵部は頂部まで赤川層の軽石質凝灰岩が分布している(Iw15,16)。また、河川沿いにも軽石質凝灰岩が確認される。段丘堆積物の確認された地点は少ないがIw17では細礫〜粗粒砂層が見られLT面の構成層である可能性がある。Iw236では送電線建替え工事に伴い深さ5m以上の掘削が行なわれ、この掘削土砂には凝灰岩は確認されないことから沖積面下数mまでは河川性の砂礫・シルトなどが堆積していることが明らかである。このような周辺の地質状況から断面図に示す様に断層の上盤側では比較的浅い深度に赤川層の軽石質凝灰岩が分布するものと考えられ、この分布の境界が断層の位置を示したいる。特に中島付近ではLU面に見られる撓曲部の前縁部で断層が地表近くに到達している可能性が高い。