3−3−2 調査方法

判読の範囲は国見町、桑折町および福島市西部についてである。判読に使用した空中写真は米軍撮影の16枚(縮尺約1/10,000)、国土地理院発行のモノクロ写真縮尺1/20,000(撮影1963年)55枚、縮尺1/40,000(撮影1972年)17枚,縮尺1/10,000(撮影)112枚である。

写真判読で観察されるリニアメントを断層による変位地形である可能性の高さによってA,B,Cの3ランクに分類した。この分類はA,Bランクが新編日本の活断層(1991)に示された確実度T,Cランクが確実度Uに対応する。また、断層の活動時期や累積変位を検討する上で重要となる段丘面の区分をおこない周辺に分布する地滑り地などの判読も行なった。

空中写真判読によって観察される段丘面の区分、断層の可能性のあるリニアメント、地滑り地等を付図2に示し、本文中には国見−桑折地域(図3−1)、桑折−飯坂地域(図3−2)、飯坂−庭坂地域(図3−3)庭坂−佐原地域(図3−4)に分けて判読記載を行なった。

本調査で行なった地形分類は段丘面を高位段丘、中位段丘、低位段丘T〜V、沖積段丘T,Uに分類し、これに崖錐・小扇状地堆積面、地滑り地を加えた。また第四紀火山岩類の分布域のうち福島市庭坂付近に見られる火砕流堆積面についても地形分類に加えた。

渡辺(1985)および新屋(1984)と本調査の段丘面区分についての対比を表3−1に示した。本調査ではの段丘区分の基準として最終氷期前半(5万年前後)以降に形成された段丘面を低位段丘として扱った。