7−4 大川地区の調査結果

本地区は,会津盆地西縁北部断層の中央部に位置し(図7−1),断層は新編「日本の活断層」(1991)では確実度Tとされている。

本地区の空中写真判読図を図7−4−1に,地質図を図7−4−2に,地質断面図を図7−4−3に示す。

本地区は,寒川(1987)等により,1611年の会津地震時に2.5m西上がりの鉛直変位が生じた結果,塞き止め湖が出現したとされている地点である(図3−6)。

地表踏査の結果によると,大川の盆地からの出口から上流側すなわち盆地方向に約200m区間にわたって七折坂層の急傾斜帯が認められる(図7−4−2図7−4−3)。このことから,大川における断層は大川の出口から約200m盆地側の沖積面分布域に推定される。しかしながら,空中写真判読によると,大川両岸の沖積面上には,断層変位を示唆する地形は認められず(図7−4−1),現地においても,圃場整備による地形改変が著しいものの,断層推定位置の両側で水田は水平であり,高度差を認めることができない(図7−4−4図7−4−5)。

一方,断層の西隆起側の大川左岸には,広く低位段丘面が発達しており,これらの低位段丘面は,空中写真判読によると,7段に細分される(図7−4−1)。この段化は,通常の地域よりも細かいことから,本断層帯の活動を反映したものである可能性が考えられる。