(1)トレンチ内の層序

トレンチ内には,基盤の相馬中村層群, 白亜系貫入岩, 塩手層及びそれらを覆って,礫層,砂層,土壌層等からなるA2 面堆積物が分布する。これらの堆積物を, 層相, 層位関係及び構造に基づき, 下位のl層及び上位のu層の2層に区分した。

l層は, 主に大礫〜巨礫の円磨度の良い円礫層からなり, 細礫層を挟在する。本層中からは年代試料は得られていない。

u層は, 下位より概ね, 礫層, 砂層, シルト質砂層及び褐色土壌からなる。礫層は亜円礫〜円礫を主とし, マトリックスはやや泥質である。砂層及びシルト質砂層は礫層の凹所を埋めるように堆積しており, 最上部に褐色土壌が分布する。本層の14C年代測定結果によると, 下部は2270±50y.B.P.及び1940±90y.B.P.の値を, 中部は1380±50y.B.P.〜1230±50y.B.P.の値を, また, 最上部の褐色土壌は 900±70y.B.P.〜 880±60y.B.P.の値を示す。