(2)南側法面

断層は,Ta層(河成礫層)基底面すなわち基盤上限面に約1.3m東落ちの鉛直変位を与えている。基盤の断層面上にみられる条線は, 不明瞭ではあるが, 約28°北落としを示す。

第四系内では,概ね2条の断層(F1,F2)が認められ,そのうち,東側の断層(F1)は,Ta層,Tb層及びUk1層(地すべり土塊)まで達しており,Ta層及びUk1層基底に約50cm〜約75cmの鉛直変位が認められる。しかし,Uk2層基底面及びその上位層では鉛直変位量は約10cm以下であり,Uk1層以下の地層とUk2層以上の地層とで変位量に不連続が認められる。

西側の断層(F2)は,T層,U層及びV層まで達し,V層の中部で消滅している。この断層からシンセティックに派生する断層(F2')もV層基底に変位を与え,V層基底面にも撓曲状の変形が認められる。この断層の鉛直変位量は,派生断層の変位量も含め,Tb層及びUk1層基底面では約1.5m〜約1m,Uk2層基底面では約50cmであり,Uk1層以下の地層とUk2層以上の地層とで変位量に不連続が認められる。

また,Uk1層以下の地層には,断層による引きずり状の撓曲変形が顕著であるが,Uk2層はこのUk1層以下の地層に認められる変形を不整合に覆っており,Uk2層基底面を境に,上下の地層の構造差が顕著である。