4−1 最終活動時期

福島盆地西縁断層帯の最終活動時期を特定する資料は、断層南部の大笹生地区トレンチA,Bおよび断層北部の森山トレンチ、万正寺ピット、睦合トレンチなどによって収集された。このうち南部の大笹生トレンチAでは、図4−1−1に示すように断層によって切られる最も新しい地層(I層)と断層を覆う最も古い地層(H層)の年代から最終活動時期が950±50y.B.P.〜2,060±70y.B.P.の間に起ったことが明らかとなった。

北部では、単一のトレンチ調査によっては最終活動時期を限定するに至らなかったが、複数の調査によって個々の断層の最終活動時期を推定し得る資料が収集された。このうち森山地区のトレンチ調査によって、藤田東断層の活動が約1,800年前以降起っていないことが確実となり、桑折断層では万正寺地区におけるピット調査・ボーリング調査によって少なくとも約3,200年前以降に最終活動が起っている可能性が高いとされる。

調査によって明らかとなった点を以下に示した。

1)盆地西縁の断層帯のうち大笹生地区における台山断層A(断層前縁部)の最終活動時期は950±50y.B.P.−2,060±70y.B.P.の間とされる。

2)大笹生地区で分岐する台山断層Bでは最終活動時期が約9,000年前から8,300年前の間に起っている。

3)盆地西縁断層帯の北部では、桑折断層の最終活動時期が3,230±50y.B.P.よりも新しい可能性が高いとした。

4)盆地西縁断層帯北部のうち、藤田東断層での最終活動時期は1,830±90y.B.P.よりも古い時代に起っている。

5)既存文献(新屋,1986等)によって福島盆地西縁断層帯の連続である可能性が考えられる宮城県内の白石断層では約4,035±120y.B.P.以降に最終活動があったとされる。

各地域の調査結果から検討されたイベントの時期を図4−1−2に示した。