3−6−5 森山地区調査結果まとめ

断層を横断する位置で実施したトレンチ調査では前年度調査で求められた藤田東断層の最終活動時期をより限定し、活動間隔を検討する目的は充分には達成されなかった。しかし、断層を横断する段丘面の上盤側でのピット調査(深度2m)、下盤側でのボーリング調査(深度10m)によって、ほぼ同時期に堆積した砂礫層には4.4mの高度差があることが明らかとなった。

平成8年度実施の森山地区トレンチでは、断層の面沿いのずれ量が1.5〜3.3mであり基盤岩と段丘堆積物が接する断層面の傾斜が30度であったことから、1回の活動による垂直変位量を最大1.6m程度とすると、この段丘を形成する砂礫層の堆積時期が7,000〜9,500年前であることから、段丘面形成後の断層活動は3回(1.6m×3=4.8m)程度起った可能性が高い。ただし、1回の変位量1.6mはトレンチで観察された断層面沿いのずれ量のみであり、地層の変形に伴う高度差の発生があるとするならばこの高度差が2回の断層活動によって生じる可能性もある。

仮に段丘面形成時期を9,500年前とし、断層の最終活動を1,800年前とした場合2回の活動の間隔は最大で7,700年となり、3回の活動では最大3,850間隔となる。活動間隔が7,700年程度とした場合、南部地域で明らかにされた断層活動と同程度の活動間隔となり、最終活動の時期も誤差の範囲に入ることから、福島盆地西縁断層帯が少なくとも30km以上にわたって同時に活動した可能性が高いといえる。

これに対して、活動間隔が3,850年程度とした場合には、南部地域とは活動時期が異なる時期にこの断層(少なくとも藤田東断層)が、活動したことを示すものであり、最終活動時期は接近した時代に起ったものの、断層活動自体は独立したものである可能性が考えられる。