(3)No.3孔

No.3孔では深度0.00〜0.15mまでは暗灰色耕作土層となっており、深度0.15〜0.47mには粘土質シルト〜シルト質極細粒砂層、深度0.47〜3.80mは礫混じり細粒〜極粗粒砂層、深度3.80〜4.00mは粘土質シルト層となっており比較的細粒物が優勢である。深度4.00〜6.55mには礫混じりシルト〜細粒砂層が見られるが砂層の下部は粗粒となっている。深度6.55〜8.70mには腐植質シルトと礫混じりシルト質砂の互層、深度8.70〜9.27mには礫質中粒砂層が見られ、深度9.27〜10.00mは細礫混じりシルト層となっており一部は腐植質となっている。

深度1.3〜1.4m、4.4〜4.5m、7.0〜7.1m、7.8〜7.9mの腐植質部分の試料を採取し、14C年代測定を行った。この結果深度1.3〜1.4mでは10,140±50y.B.P.,深度4.4〜4.5mでは27,290±190y.B.P.,深度7.0〜7.1mでは26,570±780y.B.P.,7.8〜7.9mでは33,180±810y.B.P.の年代値を得ている。

以上のNo.1〜No.3孔で見られる地層のうちNo.1孔の深度4.8mまでの砂礫層はトレンチで観察されたC層もしくはF層に対比される。これ以下に見られる腐植物を含むシルト・砂層はトレンチ内のG層に対比される可能性が高く、この両層の間には不整合が考えられる。これに対して、No.2,No.3孔で観察される地層は、これらが示す年代値からトレンチ内で確認される地層に明確に対比されるものではないが、トレンチ内のG1層〜G3層はNo.2孔の2.51m〜5.60mとNo.3孔の3.59〜6.55mに対比される可能性がある。

No.2孔とNo.3孔では、得られた年代値の対比から、下位の地層ほど大きな傾斜をもっている可能性が考えられ、一部はトレンチ内のG4層〜G8層に対比される可能性もある。この地層が示す傾斜は、地層を構成するものが比較的細粒なことから堆積時には水平に近い状況にあったと考えられ、断層の活動によって傾斜したものと考えられる。これに対して約10,000年前の時代を示す地層には緩やかな傾斜しか読み取ることができない。