(1)地質記載

トレンチで観察される地層を上位からA層,B層,C層,D層,E層,F層,G層,H層に区分した。区分は層相変化、削り込みや不整合を基準とし級化や側方変化が認められる場合には地層内の細分も行った。以下にトレンチで観察される層相を示す。

A層:盛土、工事等による埋積土

B層:細礫が点在する褐色シルト層で、現在の耕作土および植物根を多く含む地層となっている。

C層:シルト・砂礫などからなり、暗褐色腐植混じりシルト層(C1層)、砂礫層(C2 層)、褐色砂〜シルト層に区分した。C1層の上部は耕作土との境界がやや不明瞭となっている。基底は下位の地層を削り込み、これを埋積する形状を示す。「鎌倉・室町期」 の土器片が含まれる。

D層:全体に大礫〜細礫を含む砂礫層が優勢な地層となっている。トレンチ東端部では礫 混じり褐色シルト層(D1層)と褐色層(D3層)が見られ、北側ではD1層が褐色の中礫〜大礫混じり砂礫層に移化する。D3層の下位には側方に連続のやや悪いシルト質砂礫層がみられ、これらを褐色細礫層(D4層)、暗褐色細礫層(D5層)、暗褐色 シルト層(D6層)に区分した。D4層からD6層は下位層をわずかに削り込んでいる。

このうちD3層からは1,210±70y.B.P.,1,190±50y.B.P.の年代値が得られた。

E層:局所的に分布する褐色砂礫層、下位層の凹凸を埋積する。

F層:比較的礫径の大きな砂礫を主体とし凝灰岩礫も含まれる。上部には腐植混じりの砂質シルト層(F1層)が見られる。主体となる砂礫層をF2層としたが、上流側に向かって青灰色砂層(F3層,F5層,F7層)と砂礫層(F4層,F6層)が交互に出現する。F2層中にはレンズ状のシルト・砂層が挟まれ、この中には木片や炭化物が頻繁に 混入している。また、礫層中には「縄文期」の土器片が含まれる。F層の基底は大きく削り込まれる部分があり、下位層とは明瞭な不整合となっている。

上部のF1層からは1,160±70y.B.P.,1,340±115y.B.P.の年代値が得られ、F2層からは4,430±100y.B.P.〜6,125±45y.B.P.の年代値が得られた。

G層:シルト層、シルト質砂層、礫混じりシルト層を主体とする。部分的に下部を削り込む砂礫層がレンズ状に分布する(G2層,G3層)。G1層の上部は木片混じりのシルト層で腐植化している。G2層およびG3層の基底は下位層を削り込んでおり不整合の可能性も考えられる。G5層は細礫を含む砂礫層であり、この下位にシルト層(G6層)、細礫混じり砂礫層(G7層)、シルトと葉理を発達させる砂の互層となるG8層、やや粒径の大きな礫を含むG9層が分布する。トレンチ南東側ではG6層からG8層は緩やかな傾斜を示すがトレンチ中央部〜北西側のG8層ではシルト中の砂層がN40°E,15°Sの傾斜を持っている。

これらの地層のうち上部のG1層では22,600±530y.B.P.,G2層では23,980±1,460y. B.P.の年代値が得られ、下部のG6層およびG8層では>32,300y.B.P.〜>39,000y.B. P.の年代値が得られた。

H層:シルト・砂・円礫からなる比較的固結した堆積物である。N60°E,70°Sの走向傾斜を示す。G9層とは不整合関係にある。