3−3−1 調査目的および調査項目

この地区では平成8年度にピット調査2箇所が実施されている。平成9年度にボーリング調査(No.1孔)およびトレンチ調査を実施し、これらの成果を補完するために、トレンチ調査実施位置の南側において、地層の変形の有無を確認し撓曲帯の幅を確定するためにボーリング調査2地点(No.2,3孔)各10mを実施した。また、撓曲崖の上部において段丘面の形成時期の検討と地層対比を行うために1地点(No.4孔),25m、撓曲崖の下部において地層層序の確認および段丘面と地層堆積時期の対比のために1地点(No.5孔)100mを実施した。No.5孔は後述する浅層反射法弾性波探査との対比を行うために測線付近に配置した。

ピット調査は、トレンチ実施地点周辺の低位段丘および沖積段丘の形成時期を検討し、断層活動の解析を行うために4地点で実施し、年代測定試料の採取を行った(図3−3−1)。

浅層反射法弾性波探査は、

(1)下盤側の砂礫層の厚さを知ることで盆地側の堆積開始以降の変位量を検討すること。

(2)この地区での断層の角度・位置を検討し、内の馬場区でのボーリング調査結果と総合することで、ネットスリップ量の検討を行うこと。

(3)断層変位地形の見られる部分において地層の変形を確認し、変位の発生している幅についての検討を行うことを目的とし、断層横断方向に約1.2kmの測線を設定した(図3−3−1および図3−3−12)。