(2)ボーリング調査,ピット調査のまとめ

平成8年度実施の大笹生トレンチでは、この地域で2条に分岐する台山断層山側部の最終活動時期は9,090±50y.B.P.から3,860±50y.B.P.の間に、ピット調査などによる年代測定の結果、この地点での最終活動時期は9,090±50y.B.P.から8,330±60y.B.P.の間におこり、最終活動時期は前縁部の断層とは異なることが明らかとなった。

これに対し、前縁部の断層の最終活動時期はトレンチ調査によって約2,000年前から1,000年前に起ったことが明らかになったが、最終活動の1回前のイベントは9,090±70y.B.P.〜3,510±80y.B.P.の間に起った可能性が示された。ピット調査の結果から8,330±60y.B.P.〜5,980±60y.B.P.の間に堆積した沖積段丘T面には断層活動の複数回の累積変位は認められず、これより古い低位段丘V面などには明瞭な累積変位が認められる。

このことから最終活動の1回前のイベントは少なくとも9,090±50y.B.P.から5,980±60y.B.P.に起った可能性が極めて高く、最終活動の1回前のイベントでは山側の断層と前縁部の断層が同時に活動したと仮定するならば最終活動の1回前のイベント(イベントU)は9,090±50y.B.P.から8,330±60y.B.P.の間に起ったとすることができる。

大笹生トレンチで確認される約12,000年前以降の垂直変位量は約4.5m〜7.0mとされたが、ボーリング調査の結果から、見掛け上7mに達する垂直変位量は断層面末端部の上盤に見られる局部的な変形であり、より正確な垂直変位量は地層が水平となった部分で比較するべきと考えられるため、台山断層のうち前縁部の断層で見られる2回のイベントで生じた垂直変位量は約4.5mとされる。これに、山側の断層で見られる垂直変位量を加えると断層全体では8.5±1m/2回となり、1回の変位量(単位変位量)は垂直成分で4.75〜3.75mと考えられる。