(1)ピット1−1,1−2

ピット1−1は台山断層のうち山側に分岐するものの断層露頭直上の断層延長部で掘削を行った。ピット内の地層は下位より、明黄褐色〜褐色ローム質砂礫層、黒色シルト混じり砂礫層、暗黄褐色シルト混じり砂礫層および表土からなる(図3−2−8)。黒色シルト混じり砂礫層の下限は東側へ25°程度傾斜し西側に向かって層厚を減じ消滅する。よって、この地層は断層でできた段差を埋めたものである可能性が高いと判断し、14C年代測定用試料を採取し年代測定を行い580±60y.B.P.の年代値を得た。

 また、この断層の西側延長において変位の見られない段丘面を形成する堆積物の年代測定を行い(SS−101)8,330±60y.B.P.の年代値を得た。台山断層の山側のものは約9,000年

〜8,000年の間に活動した可能性が高く、これ以降に形成されたの堆積物や地形に変位が見られないことから、この区間の断層は大笹生トレンチで確認された最終活動時期には活動していない可能性が高い(図3−2−9)。

 ピット1−2はLV段丘面の急傾斜帯の上側で掘削を行った。ピット内の地層は表土の下は上位よりA・B・C層の3層に区分される段丘堆積物よりなる(図3−2−10)。A層は礫層からなり、亜角〜亜円礫である。基質は淡褐色のローム質シルトからなる。B層は淡褐色極細粒〜極粗粒砂砂層からなり、礫混じりの薄層を挟在する。下部はラミナが発達する。C層は亜角〜亜円礫からなる礫層からなる。基質は淡褐色〜赤褐色の細粒〜中粒砂からなる。B層中から炭化木片を採取し、14C年代測定を行い7,090±60y.B.P.の年代値を得た。