2−2−5 ピット調査

・万正寺におけるピット調査では、断層の活動時期などを検討するには至らなかったが、断層の位置はおおよそ20mの幅に絞り込んだ。ボーリング調査の結果と合わせて断層活動を検討する資料は収集され、少なくとも44,000年前以降の断層活動は確実であり、7,700年前以降も活動した可能性がある。

・睦合における大型ピット最下部では、礫層の頂部に明らかな断層が認められた。北側法面ではこの礫層が小断層によって切られる可能性がある。この礫層には縄文期の土器片が含まれることから、ピットに露出した地層は予想よりかなり新しく、この地点で期待される断層活動の間隔や時期の特定を行うためには掘削深度が十分ではない。

・睦合における中型ピットでは、撓曲によると考えられる地層の傾斜と小規模な噴砂現象が確認された。これらの事象は直接断層活動の履歴を明らかにするものではないが、この地点でも断層の活動の影響が現れていることを示唆するものである。

・森山地区ではトレンチ調査の他に、小型ピットによる地層の堆積状況の確認を行った。このピットには地層の変形は見られないが、近接するボーリング孔においては30cmの深度で基盤岩が露出するのに対し、ピット地点では深度1.50mまで砂・シルト・泥炭が確認され断層の背後に低湿地が形成された可能性がある。このピットの最下部からは須恵器の破片が確認されている。