4−2−2 地形調査結果

前節で述べた文献調査結果を踏まえ、文献記載内容の確認・チェックを行うとともに、警固断層系の地形的な特徴、地形面の分布状況、変位地形の可能性のあるリニアメントの位置関係を明らかにする目的で、地形図判読及び空中写真判読を行った。調査範囲は図4−1−1−1に示した。

なお、地形図判読には、表4−2−2−1に示す国土地理院発行の縮尺2万5千分の1の地形図及び断層近傍の各市が発行した 1/5,000〜1/10,000地形図を用いた。

また、空中写真判読には、表4−2−2−2に示す昭和20年代の米軍撮影の縮尺4万分の1及び縮尺1万分の1の空中写真を使用した。

これらの地形図及び空中写真の判読を行い作成した地形区分図を、付図に示した。

調査範囲の大部分は、標高50m以下の丘陵地・台地・低地で占められており、南西側の丘陵地から流下する那珂川・御笠川及びその支流沿いに中位〜低位の河岸段丘面及び沖積面が形成される。各段丘面及び沖積面の現河床からの比高は、概ね次のようである。

          現河床からの比高(m)

・沖 積 面   1 〜  3

・低位段丘面 2 〜 10

・中位段丘面 3 〜 20

・丘   陵          以上

ただし、これらの面区分の内、時代が特定できるものは阿蘇−4火砕流堆積物(90,000年BP)をのせている中位段丘面のみであり、他の面については時代はあまり確実ではない。特に“沖積面”については、完新世に形成された証拠はなく、後期更新世に形成された面である可能性が否定できないが、ここでは既往文献の命名にあわせて“沖積面”と呼称しておく。

このうち、中位及び低位の段丘面は、局所的にはそれぞれ2〜3面に細区分できるが、各細区分を後出の調査範囲全域で広く対比させることは難しい。よって、大局的な地形区分としては、上述の4区分を行った。なお、4章における詳細調査地の調査結果には、地形面の細区分を表現している。調査地範囲内の地形面分布と断層変位地形についてまとめると、次のようになる。   

なお、断層変位地形の可能性のある地形の現在の写真を2−3節に、地質状況写真とあわせて示した。