(6)浮羽町朝田〜浮羽町山北

既往文献では、この付近には活断層は認定されていないが、今回の調査では朝田ため池南方から吉広付近まで、低位扇状地面上の低崖、直線状の山麓及びコル鞍部としてNE−SW方向のリニアメントが認められた。崖の比高は1m以下である。このリニアメントの西方延長が上記の屋部・流川断層に連続すかどうかは不明であるが、概ね同系統の断層であり、水縄断層系に含めることとした。

なお、このリニアメントの東方にも赤尾川沿いに直線状の山麓線が認められるが、断層変位地形としての特徴に欠けるため、このリニアメントの東端を水縄断層系の東端と判断した。

以上のように、今回認定した水縄断層系の長さは約26qである。

東端については地形から、西側については地形及び既往文献に示された地下地質データから判断した。なお、この断層系の活動度、活動履歴の異なる複数のセグメントからなるかどうかについては、今回はデータは得られていない※※。

※※ただし、南方の山地内に大きく入り込む益生田断層から西側をひとまとまりと見ると、その長さは約21q、それより東方の部分のみの長さは約6.5qとなる。

なお、明瞭な変位地形は山麓に沿って延びており、この部分が活断層としての本体と考えられるが、その平地側にもリニアメントが認定できる部分があり、また、物理探査でも平地側に断層が認定されている。さらに、南方の山地内でも水縄断層系と同走向の鞍部の連続が認定でき、断層の存在が示唆される。

このような周辺の情報を考えると、水縄断層系は並走する複数の断層からなると見るのがよいと思われる。本断層系は、正断層としての特徴と大局的な地質構造上の位置づけの類似性から見て、別府湾の北・南縁を区切る複数の正断層〔例えば岡村(1992)など〕と同様の性格を有する断層系と見ることができよう。

ただし、今回の調査では複数の断層として、それぞれを特徴づけることはできなかった。よって、以下の検討では個々の断層は区別せず、全体を1条として取り扱う。