(4)トレンチ調査結果

B地点の沖積面上のリニアメントの通る位置で試掘を行ったところ、古墳時代の土器片を包含する砂礫層及びシルト層の分布が確認できたが、これらの地層には断層運動によると思われる変形は確認できなかった。よって、この地点での本格的なトレンチ掘削は中止した。

一方、A地点ではボーリング調査によって、bP孔近傍に基盤上面の不陸が存在することが示されたので、この付近からトレンチ掘削を開始した。しかしながら、この地点は溜池にに近いため、掘削工事の安全確保を考慮すると、あまり平地側に向かって掘削を延長することはできなかった。また、地下水の湧出がさかんなため、掘削深度にも限界があった。

A地点の掘削結果を図3−4−2−6のスケッチ図及び写真3−4−2−1に示す。

 

・地 質 分 布

トレンチでは、6層以浅の地層が確認された。地質分布は概ね前項で述べたとおりであるが、4層下限には30p以下の不陸があり、下位の地層を削り込んでいると見られる。

・地 質 構 造

ボーリング調査で基盤上面に不陸が見られた位置は、トレンチの測点0mから24mの間である。この部分では測点2〜4m間で3、4層下限面の平地側への低下(約0.5m)が見られた。しかしながら、下位の5A層下限の傾斜はこの付近より山側の部分と同程度であり、明瞭な変形は認められない。また、図3−4−2−5に示したように6層下限の形状にも変形は見られない。この結果から、3、4層下限に見られる構造は、堆積時の浸食によるものであり、基盤上面の不陸が断層運動によって形成されたとしても、その運動は被覆層には達していない、すなわち活断層ではないと判断した。

この他にも測点30〜33m間で1層の下限が約0.7m下方へ落ち込んでいる状況も見られたが、下位の5A層中の粘土層や砂層の挟みには変形は生じていない。よって、この構造も断層運動によるものではなく、浸食によるものと判断した。