3−2−1 文献調査結果

表3−2−1−1に水縄断層系周辺の活断層及び地形地質に関する主要文献の一覧表を示し、表3−2−2−2に記載内容を整理した。

文献@〜Cには主として地形判読によって認定された断層の位置や変位量が示されている。断層は、いずれにおいても水縄山地の山麓部に認定されている。

断層の詳細な位置・名称については文献@と文献A、B、C(主要著者は千田)で、見解の相違があるので図3−2−1−1に両者の区分の違いを示した。なお、同一著者により文献A、B、Cに示された断層位置についても、検討時期によって区分・名称に若干の差異があるが、ここでは挿入図から断層位置が比較的正確に読み取れる文献Cの見解を記した。文献Cにおける断層位置の詳細は図3−2−1−2−1図3−2−1−2−2に示した。文献C〜Fには水縄断層系を構成する断層(久留米市域内)についての個別の調査データが示されている。中でも文献D、Eには水縄断層系における現段階までの殆ど唯一のトレンチ調査結果が示されており、AT火山灰第積以降に3回の断層活動があったこと、最新活動時期が歴史記録にある西暦679年の筑紫国地震と一致すること等が述べられている(図3−2−1−3)。また、文献G(本報告書第Y編にも同様の資料を収録)には、水縄断層系に沿って久留米市から吉井町付近まで考古遺跡中に地震痕跡が見られることが示されており、文献D、Eの見解を支持している。文献Fには地下地質データから推定された文献@〜Cの追分断層の西方長部の位置やこれらの断層(3条)の変位量が示されている(図3−2−1−4)。

以上の文献データを見ると、水縄断層系を構成する断層の位置については若干の相違はあるものの、既往文献の見解は概ね一致しているといえる。個々の断層の性状や断層の活動イベントについてのデータは第5章で検討する。

表3−2−1−1 水縄断層系に関する主要文献一覧