2−5−2 断層の変位量

今回の調査で判明した断層の変位量を表2−5−1にまとめた。

また、空中写真判読によって読み取った断層の変位量を表2−5−2に示した。

なお、横ずれ成分についてみると今回実施したトレンチ調査では、同一層準の横ずれは計測できていない。また、トレンチ等でも断層面に条線は認められておらず、条線の方向から横ずれ成分を求めることはできていない。

地形について見ると、文献@、Aでも述べられているように宗像市見返峠南方の山地部では谷すじの明瞭な左横ずれが認められる。また、想定される断層位置を挟んで尾根沿いの小起伏面に300m程度の高度差が認められる。仮に小起伏面の形成(準平原時代)を経て、山地が隆起を開始すると同時に、河川の下刻も始まったとすると、地形のずれから断層変位の上下:水平の比を求められることになる。このようにして求めた変位量の上下:水平の比は 300m:100〜700m=1:0.3〜2.3となる。一方、@明星寺地区のトレンチ南東側では、囲ため池が続く沢が、断層を挟んで左横ずれセンスで60m程ずれて、中期段丘礫層を削り込んだ部分へ続いている。さらに、ノケオため池のある沢についても同様に左横ずれセンスで 100m程ずれている可能性があるが、沢の対応が系統的でない等の問題があり、採用できない。

※ これについては、前述のように新期段丘堆積層に区分する考え方もある。

なお、4−1節で述べたように、@明星寺地区については、中期より古い段丘堆積層についても対比が可能と思われるが、複数の層について確実に識別し、対比を行うまでのデータを得ることはできなかった。ここでは、表2−5−3に2つの対比案と、それに基づいて算出した変位量を示す。