(2)まとめ

本地区は西山断層系の北端付近にあたり、断層の存在を示唆する北西−南東方向の地形的リニアメントが3条平行している。

このうち、西側のリニアメント上で地形判読によって見出された低位段丘面上の低断層崖の位置及び、その近傍で電気探査によって比抵抗値の変化状況から断層の存在が推定された位置を挟んでトレンチ調査を実施したところ、新期段丘礫層を変位させている断層が確認された。この断層は面が密着してうねっているが、鉛直に近い傾斜を有している。地層の対比では確認されていないが、周辺の露頭の状況等も考慮すると、変位センスは山側(北東側)落ちである可能性がある。14C年代測定結果からみて、10,000〜 11,000年BPと判断される地層がこの断層の活動による変形を受けている。江戸及び平安時代の土器を含む地層は変形を受けていないようにみえるが、断層直上は近年の人工土に覆われているため、最新活動時期の上限年代についての直接のデータは得られていない。