(3)重力探査

重力探査は、水縄断層東部周辺域(主に浮羽町)、及び警固断層北西部周辺域(福岡市)において実施した。

(1) 探査諸元

重力探査の諸元を表1−5−3−9に示す。

探査では、基準点(基点)重力値を基に重力測定を行った。

(2) 測定方法

重力測定は、図1−5−3−10に示す重力計を用い、図1−5−3−11に示す閉環測定法を採用して行う。閉環するまでの時間は2時間から5時間を目安とし、1日に2回ループを閉じることを原則とする。

また、重力測定は表1−5−3−10に示す基準点(基点)重力値を基に行う。これらの基準点重力値は、国土地理院によって設置されている日本重力基準網1975(JGSN1975)に準拠するものである。

(3) 解析方法

図1−5−3−12に重力データ処理と解析の流れを示す。

その手順は、以下の3つのステップに大別される。

@ 重力値の計算

現場で得られた重力測定データから各測定点での重力値を計算する。

A 重力異常値(ブーゲー異常値)の計算    

得られた重力値に種々の重力補正を施し、重力値を求める。さらに、ランダムに分布する測定点毎の重力異常値を補間によってグリッドデータ化する(重力異常分布)。

オリジナルの重力異常分布図(ブーゲー異常図)は、このグリッドデータを基にして作成する。

B 解  析

得られた重力異常分布を、フーリェ解析の手法を用いたスペクトルの分析・フィルター処理などによってトレンド成分・シグナル成分(長波長成分/短波長成分)・ノイズ成分の各成分に分離する。

地下密度構造の推定は、シグナル成分を用いて行う。波長が非常に短いノイズ成分からは、測定誤差や各種重力補正に伴う誤差の不偏推定量が求まる。波長が非常に長いトレンド成分は、遠方地形の影響などを除去し、調査対象よりも深い構造が求まる。

A)重力計CG−3Mの外観

b)重力計の測定原理

・重力の分解能→0.001mGal

・このときのスプリングの伸び(縮み)

                      →2.0×10−9p(2pの10億分の1)

・重力検出部は、図に示す定位型のスプリン・おもり系から構成されている。

・重力が増減すれば、それに応じてスプリングが伸縮する。この時のおもりの変位を平板コンデンサーの静電容量変化として検出し、このシグナルをフィールドバックすることにより、おもりをもとの位置に戻す(ゼロ位法)。

図1−5−3−10  重力計の外観及び測定原理

図1−5−3−12 重力データ処理と解析の流れ