(2)比抵抗映像法電気探査

比抵抗映像法電気探査は、以後比抵抗映像法と記す。広域地形調査に基づき選定した詳細調査地において、比抵抗分布より断層位置の詳細な検討を行い、トレンチの位置・深度を決定するための地質構造を把握する目的で実施した。

比抵抗映像法は従来の垂直電気探査を水平方向に連続して測定する高密度な探査技術と、解析で地形の影響を補正した上で、実測値に最も良く合う比抵抗分布を計算し、詳細な比抵抗分布をカラー画像化する技術である。

1) 測定諸元

表1−5−3−7に測定の諸元を示す。

(2) 測定方法

測定概念を図1−5−3−6に、使用した機器の仕様を表1−5−3−8に示す。

次に、測定の手順を箇条書きにして以下に示す。

A) 測線より十分離れた地点(一般に最大電極間隔(今回14m)の10倍程度)に遠電極(電流電極C2、電位電極P2)を設置し、ケーブルを介して電気探査装置に接続する(図1−5−3−6B参照)。

B) 測線上に予め距離1m間隔に測量した位置に電極を配置し、これらの電極をテイクアウトケーブルを介して、電気探査装置に接続する。なお、このテイクアウトケーブルは、最大20個までの電極との接続が可能である。

C) 図1−5−3−6Cのように電流電極C1とC2間に通電し、C1より1m隔てた電位電極P1と遠電極P2とで電位差を測定する。この測定は P1を所定の電極間隔 1m、2m、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10m、11m、12m、13m、14mまで順次拡大する。

D) さらに、最大電極間隔14mまでの測定終了後に、C1電極をP1電極側に1m移動し、c)と同様の測定を繰り返す。なお、これら一連の操作は測定本部の電気探査装置で自動的に切り替えられる。

(3) 解析方法

解析はコンピュータ(VAX4000:DEC社製:アメリカ)を用い、処理を行う。解析の流れを図1−5−3−7に示す。

以下に主な処理の概要を述べる。

@遠電極補正・一次地形補正

データに含まれる遠電極や地形の影響を補正する。

Aアルファセンター法二次元解析

二次元性の強い複雑な構造の解析に適しているアルファセンター法により二次元解析を行う。

B解析結果の検討

平均残差や偽像の有無など、測定値(見かけ比抵抗値)と解析結果を比較検討する。問題点があれば解析条件を変えるなどして、再度解析を行う。特に地形の変急点などで、地形補正が不十分なことによる偽像が認められる場合には、二次地形補正を実施する。

C解析結果の図化

最終解析結果である比抵抗分布断面をカラー画像にして図化する。

D地質的な解釈

図1−5−3−8の地盤パラメーターと比抵抗の関係や、図1−5−3−9の地質・土質と比抵抗との関係、及びボーリングデータなどの資料を参考にして地質的な解釈を行う。