(1)文献調査

福井地震の際には、地表面の食い違いとして現れる地震断層は出現しなかった。地震直後に詳細な現地調査を行った小笠原(1949)は、地割れ、噴砂、家屋の倒壊率等の分布から、平野中央部の地下に「深部断裂」の存在を推定した。地震直後の測量の結果、その「深部断裂」に沿って最大で水平方向に約2m、鉛直方向に約0.7mの変位があったことがTsuya(1950)により明らかにされた。

宇佐見(1975)は「資料日本被害地震総覧」で、1948年の福井地震に伴って左横ずれ東側隆起の地震断層(福井地震断層)が出現したと記述し、これ以降1948年の福井地震に伴って地震断層が出現したとの理解が広く受け入れられるようになった。「日本の活断層」(活断層研究会編、1980、1991)にも、福井地震断層として長さ27kmにわたり図示されている。