(4)地質構造

既往文献や既往ボーリング結果との対比から、得られた反射面(黄橙色、橙色)は第四紀層に、反射面(桃色)は福井平野東部の山地を形成する第三紀層の上面境界に対応すると考えられた。

測線140m付近を境として反射パターンが異なり、東側では標高0mから下位に第三紀層が分布するが、西側では標高ー40mまで第三紀層が分布しておらず、この付近に 断層等の不連続があると考えられる。地層境界は、西側に比べ東側が相対的に高くなっており、この不連続は東上がりのセンスを示し、当該部は、篠岡断層北延および福井東側地震断層トレース位置に一致する。

また、S波測線の南側約2kmに位置するP波測線では、福井東側地震断層に相当する部分を境として、第三紀層の上面境界が最大70m程度変位している結果が得られている。本S波反射法結果でも第三紀層の上面境界は、この不連続を境として50m以上変化していると推定され、P波反射法結果と一致する結果が得られている。

以上のことなどから、この不連続は福井東側地震断層に相当すると推定される。

福井東側地震断層が推定される測線60〜150m区間では、反射パターンの変化などから赤色で示す複数の断層が想定され、P波反射法結果と整合的な結果が得られている。これら複数の断層の内、測線150m付近に赤色の破線で示す断層は、小笠原(1949)に記載されている西上がりの断層と調和的であり、福井東側地震断層に関連した副次断層の可能性が考えられる。

福井東側地震断層が推定される部分では、このように複数の断層が認められ、第三紀層上面境界は50m以上の変位も推定されるが、砂礫層上面境界(橙色)に対応する反射面は西側に傾斜しているものの、反射面に明瞭な食い違い等は見受けられない。したがって、地表付近の浅所の地層はP波反射法結果に見られるような撓曲構造の可能性が考えられる。