(1)データ処理

データ処理の流れはほぼP波探査におこなった。処理パラメータは巻末に示すとおりであるが、ここでは、処理に関する特徴を示す。

1)測定記録

測線を設定した道路は舗装工事が実施された直後で、舗装に伴う整地が行われて数10cmの柔らかい盛土が施されていた。

代表的な測定記録を巻末に示すが、表面波と考えられる波が認められ、おそらくこの盛土の影響が強いものと考えられる。また、記録ではかなり大きな振幅を持った100Hz以上のP波(3〜4km/sec)が観測された。S波測定でこのようにP波が観測されることは多くなく、道路脇にあるコンクリート製の側溝および舗装構造とが相乗した効果の影響も一員と考えられる。

2)静補正計算・静補正

全測定記録に対して直接波および屈折波の初動を読み取り、タイムターム法などを用いて速度の遅い表層部の補正量(時間量)を計算した。第1層の速度値は概ね180〜200m/sec、第2層の速度値は380〜420m/secが得られた。

補正基準面は、標高20mとした。したがって、重合処理断面やマイグレーション断面などの時間断面では、縦軸の時間0秒はすべて標高30mとなることに注意を要する。

3)速度解析・NMO補正

第1層と第2層の速度値は倍程度と大きく異なるが、速度境界は時間軸上で接近しており、反射波列は交差するところも見られた。したがって、交差する部分はNMO補正が正常に施せないことから、オフセット距離を制限してNMO補正を実施した。

表3−4−2に速度解析結果を示す。

表3−4−2 速度解析結果

4)マイグレーションおよび深度変換

マイグレーション速度は速度解析で得られた速度の平均的な値を用いた。また、調査地近傍には検層結果などはないため、速度解析より求められた速度を用いて深度変換を行った。