(1)火山灰分析結果の概要

分析結果の概要を記す。詳細は続く節で述べる(図2−10図2−14参照)。

a)中位段丘堆積物を覆う崖錐性堆積物(4層)中で約7.5〜9.5万年前に降下した鬼界葛原火山灰(以下、K−Tz)起源と判断されるβ石英の産出があった。

b)支流性低位段丘堆積物の3B層は純粋なAT火山灰(姶良火山灰、約2.2〜2.5万年前)であることが判明した。

c)林道沿いの一段低い低位段丘堆積物中にAT火山灰が、その上位からAT火山灰と大山笹ヶ平火山灰(DSs、約2万年前)が産出した。

この結果から中位段丘堆積物は約10万年前以前に、崖錐性堆積物は約8〜10万年前頃に、支流性低位段丘堆積物は約2.5〜2.2万年前頃に、本流性低位段丘堆積物は約2.5〜2.0万年前頃に堆積した地層であると判断される。