3−3−2 陸域調査

(1)甲楽城断層

完新世段丘調査

平成8年度調査によって、完新世段丘の分布と高度が把握され、越前海岸は完新世以降も隆起傾向にあることが明らかとなった。完新世段丘の形成時期を示す年代試料を得ていないため、中位段丘の隆起速度との比較や活断層との関連については現時点では不明である。今後、掘削調査等から得られる堆積物の年代測定により、完新世以降の活動履歴、すなわち断層の活動履歴を解明する必要がある。

(2)柳ヶ瀬断層(北部)

平成8年度の概査結果から、栃ノ木峠から板取では、柳ヶ瀬断層の位置が特定された。特定された断層位置に第四紀堆積物が分布する箇所が数箇所あり、この区間の断層の性状と活動性を把握するために、トレンチ調査等の詳細調査が必要である(図3−3−2−1 )。

(3)起震断層としての柳ヶ瀬断層帯の検討

柳ヶ瀬断層帯を構成する各断層のうち、甲楽城断層の長さおよび活動度が明らかとなった。また、山中断層については活断層であることが疑わしいものと評価された。

今後、柳ヶ瀬断層の詳細な調査に基づき甲楽城断層と柳ヶ瀬断層の相互の活動時期の同時性など起震断層としての検討が必要とされる。