(2)海域の断層の活動性及び連続性の検討

海域断層の活動性は、変位(変形)量の垂直2次元分布図を作成し、変位量、活動時期、活動度などについて検討した。

このうち、活動度はP1層基底面(約0.15Ma)を基準面として、断層両側での垂直変位量で算出した。

断層変位(変形)量の2次元分布を図3−1−2−3−1図3−1−2−3−2図3−1−2−3−3図3−1−2−3−4に、断層の連続性の傾向を前出の図2−3−3−8に示す。

以下、断層の活動性及び連続性を検討した結果について述べる。

(a)F−0断層

最新活動時期:P1層基底面に変形が見られることから、更新世後期以降の活動が推定される。

活 動 度:不明。

変位(変形)量分布:不明。

連 続 性:F−0断層の北方延長は後述する。南方延長は大谷口に至ると考えられる。

(b)F−1断層

最新活動時期:P1層基底面に変形が見られることから、更新世後期以降の活動が推定される。また、海底面に変化が見られることから、完新世の活動の可能性も否定できない。

活 動 度:P1層基底面基準として最大の変位量は約50mであるので、平均変位速度  は約0.3m/1,000年となり、活動度はB級と考えられる。

変位(変形)量分布:変位(変形)量の累積性は、北部ではP4層基底面以上に、南部ではP3層基底面以上に認められる。また、P1層基底面〜P3層基底面間の区間変位量は南部の方が大きく、P3層基底面〜P4層基底面間の区間変位量は北部の方が大きい傾向が見られる。従って、活動の中心がP4層堆積時までは北部にあったが、P3層堆積時以降は南部に移動した可能性が考えられる。

連 続 性:F−1断層の北方延長は調査範囲外になるので、延長性は不明である。南方 延長に位置するLine3測線には、該当する断層は認められない。

(c)F−2断層

最新活動時期:北端部を除きP1層基底面に変形が見られることから、更新世後期以降の活動が推定される。また、北端部を除き海底面に変化が見られることから、完新世の活動の可能性も否定できない。

活 動 度:P1層基底面を基準とし最大の変位量は約100mから、平均変位速度は約0.7m/1,000年となり、活動度はB級と考えられる。

変位(変形)量分布:変位(変形)量の累積性は、北端部のLine4測線ではP2層〜P4層基底面に、Line5測線ではP3層基底面以上に、Line6測線ではP4層基底面以上にそれぞれ認められる。従って、P2層堆積時以降は北端部の活動が終息した可能性が考えられる。

連続性:F−2断層の北方延長は調査範囲外になり、沿岸域の海上保安庁水路部の音波探査記録の解析結果を併せても、音響基盤が確認できない範囲が越前岬沿岸から北方に残る。F−2断層がこの範囲に延長する可能性は否定できない。南方延長については後述する。

(d)F−3断層

最新活動時期:P1層基底面に変形が見られることから、更新世後期以降の活動が推定される。

活 動 度:P1層基底面を基準として最大の変位量は約10mであることから、平均変位速度は約0.07m/1,000年となり、活動度はC級と考えられる。

変位(変形)量分布:変位(変形)量の累積性は、P3層基底面以上に認められる。

連続性:F−3断層の北方延長は調査範囲外になり、沿岸域の海上保安庁水路部の音波探査記録の解析結果を併せても、音響基盤が確認できない範囲が高佐〜越前岬にかけての沿岸部に残る。F−3断層がこの範囲に延長する可能性は否定できない。南方延長はF−0断層またはT−0撓曲に限られる。

(e)T−0断層

最新活動時期:P1層基底面に変形が見られることから、更新世後期以降の活動が推定される。また、海底面に変化が見られることから、完新世の活動の可能性も否定できない。

活 動 度:P1層基底面を基準として最大の変位量は約90mであり、平均変位速度は 約0.6m/1,000年となり、活動度はB級と考えられる。

変位(変形)量分布:変位(変形)量の累積性は、P4層基底面以上に認められる。

連 続 性:T−0撓曲の北方延長および南方延長については後述する。

(f)甲楽城断層北部とその北方延長部付近の断層分布

甲楽城断層断層北端部とその北方延長部付近では、それぞれ性状の異なるF−0断層、T−0撓曲、F−2断層およびF−3断層が確認された。各断層・撓曲の連続性を図3−2−1−4に、性状を表3−2−1−2に示す。

各断層・撓曲の性状は次のとおりである。

F−0断層は、海上保安庁水路部のシングルチャンネル音波探査記録No.16およびNo.17で推定され、海上保安庁水路部(1980)が図示した断層であることから、甲楽城断層に相当すると考えられる。この断層を境にして、相対的隆起側のB層と相対的落下側のP1層およびP2層が接しており、断層の走向は北西−南東である。

T−0撓曲は甲楽城断層(F−0断層)の北西延長に位置するLine7測線で認められ、P1層内に推定される極めて小規模な断層を除き、全体として各層の反射面の連続性は比較的良いことから、少なくとも大規模な垂直変位を伴う断層は認められず、かつ大規模な水平変位も考えにくい。

F−2断層およびF−3断層は、いずれも走向が北北東−南南西〜南−北方向の顕著な逆断層であり、基盤(B層)上面では顕著な垂直変位が確認されている。

以上のように、甲楽城断層は干飯崎西方沖より南東方では断層(F−0断層)として認められるが、その北西方延長に位置するT−0撓曲には顕著な断層はみられない。従って、T−0撓曲は甲楽城断層北西端の終息域であると考えられる。