(3)音波探査記録断面図の音響層序区分

音波探査記録断面図は、地質情報と共に多種多様のその他の要素を含んでおり、地質情報を示す音響層序の区分は次のような基準に従って行った。すなわち、全海域の記録断面図に見られる同種のパターンの分布範囲、分布深度、異種パターンとの境界、傾斜不整合面、侵食面などと、周辺陸域および海域の地質に関する文献、既往調査結果などを考慮して行った。

解析の結果、海域に分布する地層は上位からP層およびB層(音響基盤)の2層に区分され、さらにP層はP1〜P4の4層に細分された。これら各層の代表的記録パターン例を図2−3−3−4−1図2−3−3−4−2図2−3−3−4−3図2−3−3−4−4に示す。

以下、パターンの特徴について述べる。

(a)P層の反射パターンの特徴(図2−3−3−4−1図2−3−3−4−2図2−3−3−4−3図2−3−3−4−4

P層は最上位層で海底面に露出しており、調査海域の全域に分布している。

P層は下位層を顕著な不整合関係で覆い、沿岸域にみられる一部の軽微な不整合、顕著な反射面などによりP11〜P44層の4層に細分される。

表層音波探査記録ではP1層上部のみが認められ、沖合部では海底面とほぼ平行な層理を伴う透明パターンを示すが、沿岸部では透明パターンを示す層が薄いかまたは分布せず、反射情報に乏しい。

マルチチャンネル音波探査記録では、P層は全般的には連続性に富む平行層理パターンを示し、沿岸域では沖合に向かって緩やかに傾斜する前置層的パターンを、大陸棚外縁付近では散乱状パターンをそれぞれ伴っている。

これらのパターンから、P層は泥、砂、礫、またはそれらの互層からなる砕屑性の堆積物と推定される

(b)B層の反射パターンの特徴(図2−3−3−4−3図2−3−3−4−4

B層は全域で分布が認められるが、すべてをP層に覆われて海底面に露出しない。

B層は上位層に顕著な不整合関係で覆われている。

表層音波探査記録では探査深度内にB層は確認されない。

マルチチャンネル音波探査記録では、B層は褶曲を伴う平行層理パターンおよび無層理パターンを示し、前者は沖合側、後者は沿岸側に分布する傾向を示すがそれらの境界は明瞭ではない。

これらのパターンから、B層は堅硬な堆積岩または火成岩から構成されると推定される。