(3)水深測量

水深測量は、音響測深法により音響測深機を使用して実施した。

(a)測深方法

測深は、音響測深機の記録器を調査船の観測室に、送受波器を調査船の舷側に設置して行った。音響測深機は送受波器から音波を発振し、海底面で反射して戻ってくる音波を送受波器で受振する。受振された音波は電気信号に変換され、発振してから受振するまでの往復時間に対応した海底面の像が連続的に記録器に描かれる。なお、音響測深機の水深目盛は音波の水中伝播速度を1,500m/secとして調整してあるが、実際の音波伝播速度は海水の温度、塩分濃度などに応じて変化する。従って、実際の水深は、観測前に間縄の先端に吊下げたバーチェック板を適当な間隔で降下させ、音響測深機が示す水深目盛との差によつて補正される。

(b)音響測深機

調査に使用した音響測深機は千本電機製のPDR−104型である。音響測深機の仕様を表2−3−1−4に、構成図を図2−3−1−6にそれぞれ示す。

音響測深機はケーブルで接続された本体と送受波器とに分かれており、記録器は調査船の観測室に、送受波器は水深1.5mに沈めて舷側に設置される。

同期発振部は周波数の安定した交流信号を電力増幅して、記録部に送り出す。

記録部は記録機と制御回路との両機能を備え、制御回路から送受信部の送信側に音波発生同期信号を送り、所定の周波数の持続時間をもつパルス波を発生させる。

発振信号は送受波器に送られ、電気エネルギーから音波に変換される。発生した音波は海水中を伝播し、海底面で反射して送受波器に入り、再び電気エネルギーに変換される。

海底面からの反射信号は送受信部の受信側で受信され、記録機のペンの走査によって海底面を連続的に記録紙上に描く。