5−5−1 これまでのセグメント区分案

中央構造線活断層系のように四国だけでも延長190kmに達する長大活断層は,いくつかに分割して地震を発生させる可能性が高いと考えられている(岡田,1992)。しかし,一度に活動する区間(セグメント)の認定は,現在活断層研究の第一級の研究課題となっており,確定していない(図5−5−1)。

これまでのところ,セグメント区分(案)としては,断層線の走向の変化,活断層と活断層とのステップの状況,平均変位速度,分岐断層ないし逆断層への移行状態に注目した岡田(1992;図5−5−2)のセグメント試案,これを修正したTsutsumi & Okada(1996;図5−5−3)のセグメント試案が発表されている。また,佃(1996;図5−5−4)は,周辺の地質構造,地殻変動を考慮して,中央構造線活断層系の断層セグメント構造について検討している。一方,中田ほか(1998),中田・後藤(1998;図5−5−5),Goto & Nakata(2000;図5−5−6)は,横ずれ断層の隆起方向や分岐形態から新しいセグメント区分を提案している。

一方,伊予灘海域については,海底活断層の分布に基づく露口ほか(1996;図5−3−1)によるセグメント区分と断層分布形態と地下構造を考慮した大野ほか(1997;図5−3−2),Ohono et al.(1999;図5−3−3)のセグメント区分がある。

図5−5−1 四国の中央構造線活断層系のセグメント区分に関する見解(長谷川,1999に加筆)

MLは松田(1975)の関係式に基づくマグニチュードの試算

図5−5−2 岡田(1992)によるセグメント区分

図5−5−3 Tsutsumi & Okada(1996)によるセグメント区分

図5−5−4 佃(1996)によるセグメント区分

図5−5−5 中田・後藤(1998)によるセグメント区分

図5−5−6 Goto & Nakata(2000)によるセグメント区分