5−4−3 重信・北方・川上断層西部

(1) 後藤ほか(1999)は,松山市高井町のトレンチ調査により,川上断層の西方延長に位置する重信断層は,5,550yBP以降少なくとも1回活動したと推定している。

(2) 愛媛県(1999)は,平成10年度の重信断層のトレンチ調査により,同断層の最新活動時期を990±40yBP(AD990年)以降で,松山城の被災記録から恐らく1649年以前と推定した。また,1つ前の活動時期を約5,220〜1,500yBP,2つ前の活動時期を8,000yBP前後と推定し,これらから活動間隔を3,500〜4,000年と推定した。

(3) 松山市の松環古照遺跡では,15世紀以降近世のある時期以前に発生した噴砂が報告されている(埋文関係救援連絡会,1996)。また,1596年(慶長元年閏7月)松山市余戸の薬師寺崩壊(宇佐美,1996),1584年川内町医王寺楼門倒壊(高橋,1985)との関連も注目される。

以上を総合して,重信・北方・川上断層西部の活動履歴を以下のように推定する。

@ 最新活動時期:990yBP(AD990年)〜AD1,649年〈ほぼ確実〉で16世紀末の可能性もある  〈未確実〉

A 1つ前の活動時期:5,220〜1,500yBP〈やや不確実〉

B 2つ前の活動時期:8,000yBP〈やや不確実〉

C 活動間隔:3,500〜4,000年〈やや不確実〉

D 経過時間率:<0.3