(1)トレンチ調査結果

池田断層では,平成11年度に,池田断層西部では伊予三島市中曽根地区上石床西地点で,池田断層東部では川之江市半田地区平山地点でトレンチ調査を実施した。

[上石床西地点]

伊予三島市上石床西地点では,池田断層が通る沖積面でトレンチ調査を実施した。当地点は,後藤(1996),後藤・中田(1997)によりトレンチ調査やジオスライサーによる調査が行われた地点に近接している。周辺には東西に連続するリニアメントが認められ,北側隆起の50〜60cmの段差,陥没地形および水路の右ずれ屈曲(5.7m)等が認められる。

トレンチ調査の結果,高角度で南に傾斜する断層を確認した。断層は耕作土直下の地層まで変位・変形を与えており,沖積堆積物中に少なくとも2回の活動履歴が解読できる(図4−8−1)。14C年代測定による本トレンチの堆積物の年代とイベント解析から本トレンチにおける池田断層の活動履歴は,次の通りである。

@最新活動時期:560±70〜30±50y.B.P.(AD 1,450〜1,690年)

A1つ前の活動時期:1,510±40y.B.P.〜1,290±90y.B.P.(AD600年前後)

[平山地点]

平山地点では,池田断層が通ると推定される沖積面を対象にトレンチ調査を実施した。トレンチ調査の結果,高角度でやや南側に傾斜する断層を確認した。断層は,沖積層に変形・変位を与えており,沖積堆積物中に少なくとも2回の活動履歴が解読できる(図4−8−2)。

ボーリング調査では,岡村層相当層基底面(和泉層群破砕帯上面)に見かけ上,10mの高度差(南側低下)を確認した。14C年代測定による本トレンチの堆積物の年代値とイベント解析から本トレンチにおける池田断層の活動履歴は,次の通りである。

@最新活動時期:1,120±70y.B.P.(AD 600年)前後

A1つ前の活動時期:2,930±120〜1,120±70y.B.P.

地震動:610±50〜190±40y.B.P.(AD 1,420〜1,645年)

平山トレンチで認められた地震動による流動化跡を池田断層によるものと仮定すれば,池田断層西部と池田断層東部の活動履歴はほぼ一致する。したがって,池田断層西部と池田断層東部は1つのセグメントである可能性が高い。

上石床西トレンチと平山トレンチの調査結果を総合すると,池田断層の最新活動時期は次のように推定することができる。

@最新活動時期:560±70y.B.P.〜190±40y.B.P.(AD1,450〜1,645年)

A1つ前の活動時期:1,120y.B.P.(AD 765〜1,025年)前後

B活動間隔:500〜1,000年