(3)断層活動

トレンチ実施前

沖積層基底面深度は,北から Ich−1で GL−4.10m,Ich−3で GL−1.90m,Ich−2

で GL−1.60mであり,Ich−1とIch−3で 2.2mの高度差(南上がり)が認められた。段丘堆積物基底面(着岩面)の深度は,北から Ich−1で GL−7.60m,Ich−3で GL−7.60m,Ich−2で GL−6.70m,Ich−4で GL−9.00mであり,Ich−2とIch−3の間に 0.9mの高度差(南上がり)が認められること,また,沖積層の層相は Ich−2とIch−3は酷似しているが,Ich−1とIch−3には層相にやや違いが認められることから,Ich−1とIch−3の間,特に,Ich−3付近に沖積層まで変位・変形を与えている断層が存在する可能性が高いと判断した。

トレンチ実施後

トレンチ調査で断層を確認できなかったため,トレンチ掘削後に,ボーリングコアの詳細な見直しを行なった。

岩盤面深度は,北から Ich−1で EL=47.95m,Ich−3で EL=49.50m,Ich−2で EL=50.45m,Ich−4で EL=51.90mであり,沖積層は北へ緩やかに傾斜している。Ich−2とIch−4間で岩盤面深度に高度差は認められないものの,Ich−4にのみ深度4.65〜6.25m間に和泉層群の砂岩,泥岩の礫からなる礫層が認められ,沖積層基底に1m程度であるが有意な高度差があるものと考えられる。

したがって,Ich−4とIch−3間の低崖付近には,断層が存在する可能性が高い。ただし,Ich−4とIch−2の岩盤面の高度差がないのは,断層北側の丘陵を構成する高い標高にあった基盤岩が右横ずれにより東へ移動し,見かけ上,基盤岩の高度差が小さくなったものと解釈される。

トレンチ地点の北方の道路沿いを断層が通る可能性を完全には否定できないものの,地形判読,ボーリング調査から,トレンチ地点の南に認められる低崖が低断層崖である可能性が高い。