(1)地 形

調査地域は,石鎚断層崖の北方にあたり,和泉層群,高位段丘堆積物で構成された丘陵性台地が分布し,石鎚山脈より北流する西谷川や浦山川によって低位段丘面や沖積面が形成されている。

浦山川左岸では,低位段丘面や沖積面上,丘陵地と沖積面との地形境界に,A〜Bランクのリニアメントが断続的に判読される。リニアメントは,比高1〜2mの北側低下の低崖からなる。低崖の方向は西南西−東北東方向で,北流する浦山川と直交する。また,低崖を横断する小道に約6mの右横ずれ変位が認められること,低崖の南側の低位段丘面が浦山川の流路方向とは逆の南へ傾斜していることを考慮すると,この低崖は断層運動によって形成されたものと判断される。

なお,市木トレンチ地点の南方に認められる低崖は,低崖裾部に湧水池が認められることから,湧水による崩壊により南へ後退しているものと考えられた。しかしながら,ボーリング・トレンチ調査結果から,この低崖は断層運動によって形成されたものと判断される。また,市木トレンチ地点西方の丘陵地と沖積面との地形境界に認められるリニアメントは,丘陵地北側斜面の地すべりなどにより北へ張り出しているものと考えられる。