(2)調査結果

ボーリング調査は地形判読結果および地表踏査結果を考慮し,断層推定位置を挟んで2本(孔間隔10m,北からHg−1,Hg−2)実施した。さらに,基盤岩深度の確認を目的にHg−2の南方約5mの地点にHg−3ボーリング(調査深度13m)をトレンチ調査後に追加した。

各ボーリング孔の層相の特徴を以下に記載する。

Hg−1 孔口標高:169.98m,掘進長:10.00m

Hg−1の地質構成は締まりと風化の程度から判断すると,表土直下から全て中位段丘相当

の堆積物が分布し,トレンチではTあるいはU層に相当する。概ね,締まりの良い黄褐色を呈した礫混じりシルトないし砂礫からなり,礫径は1〜3cmで,泥質片岩の亜円礫からなる。

 

Hg−2 孔口標高:170.09m,掘進長:10.00m

Hg−2では,締まりと風化の程度から深度4.1mまでは沖積堆積物,それ以深は中位段丘相当層からなる。

沖積堆積物は,トレンチ調査結果を考慮すると層相の特徴から以下の5層に区分できる。

a層:暗灰色を呈した礫混じりシルト層(GL−0.2〜0.8m):トレンチではB,C層に相当

b層:暗灰色を呈した砂礫層(GL−0.8〜1.2m):トレンチではD,E層に相当

c層:灰褐色を呈した腐植質シルト層(GL−1.2〜1.5m):トレンチではF層に相当

d層:褐色を呈した砂礫層(GL−1.5〜2.65m):トレンチではK層に相当

e層:黄灰褐色を呈したシルト混じり砂礫層(GL−2.65〜3.0m):トレンチではM層に相当

中位段丘相当層は,GL−4.10m以深に分布し,赤灰褐色〜黄褐色を呈したシルト質砂礫ないし礫混じりシルトからなる。礫は径1〜3cmの泥質片岩で,亜円礫でかつ扁平板状である。沖積堆積物に含まれる礫と比較してクサリ礫化の度合いが強いが,締まりは良い。

Hg−3 孔口標高:170.10m,掘進長:13.00m

Hg−3では,9.25m以深から基盤岩と考えられる泥質片岩が出現し,9.25m以浅には,締まりと風化の程度から深度2.70mまでは沖積堆積物,それ以深から中位段丘相当層が分布する。

沖積堆積物は,粗粒砂〜細粒砂を主体とし,泥質片岩の亜角〜扁平板状礫を混入している。トレンチ調査結果を考慮すると,D〜L層に相当する。

中位段丘相当層は,Hg−1およびHg−2と同様に,概ね締まりの良い黄褐色を呈した礫混じりシルトないし砂礫からなる。礫は泥質片岩の亜円礫からなり,礫径は1〜3cmである。 なお,トレンチ南壁面最下層を構成する泥質片岩は本ボーリング結果からその下位に中位段丘相当層が存在すること,および基盤岩深度が9.25m以深であることから,移動岩塊であると判断される。