(2)調査結果

ボーリング調査は,地形判読結果および地表踏査結果を考慮し,推定される撓曲位置をはさんで北側で3本,南側で2本(北からKo−5,Ko−1,Ko−2,Ko−3,Ko−4)実施した。各ボーリング孔の層相の特長を以下に記載する。

Ko−5 孔口標高:EL=2.10m,掘進長:25.00m

Ko−5の地質構成は,表層より深度1.9mまでの盛土を除けば,周辺の地形状況から,深度5.6mまで沖積層が分布し,5.6m以深には低位段丘堆積物が分布する。

沖積層は腐植物を混入したシルトもしくは粘土層が主体で,径1〜5cm程度の和泉層群起源の礫や緑色岩礫を主体とするシルト質砂礫層を部分的に介在する。

低位段丘堆積物も腐植物や木片を混入したシルト層が主体で,緑色岩や流紋岩を主体とする砂礫層を介在している。沖積層と比較して固結度がやや高い。

全域的に,年代測定試料に富んでいるため,沖積層からは,Ko−5−C1(GL−4.70〜4.80m)の1試料,低位段丘堆積物からは,Ko−5−C2(GL−6.70〜6.80m),Ko−5−C3(GL−11.65〜11.75m),Ko−5−C4(GL−15.80〜15.90m)の3試料の14C年代測定試料を採取し,Ko−5−C1からは6,170±30y.B.P(Beta−139088),Ko−5−C2からは11,080±100 y.B.P(Beta−139089),Ko−5−C3からは37,700±1,400 y.B.P(Beta−139090),Ko−5−C4からは41,300±500 y.B.P(Beta−139091)の14C年代値が得られた。

Ko−1 孔口標高:EL=1.97m,掘進長:20.00m

Ko−1の地質構成は,表層より深度5.0mまで沖積層が分布し,5.0m以深から低位段丘堆積物が分布する。

沖積層はKo−5同様,腐植物を混入したシルト層が主体で,変質を受け軟質化した緑色岩も流紋岩礫を主体とする礫層を介在する。

低位段丘堆積物も腐植物や木片を混入したシルト層が主体で,緑色岩や流紋岩を主体とする砂礫層を介在している。沖積層と比較して固結度がやや高い。

沖積層からは,Ko−1−C1(GL−2.45〜2.50m)の1試料を採取し,5,380±30y.B.P(Beta−139081)の14C年代値が得られた。

Ko−2 孔口標高:EL=2.03m,掘進長:20.00m

Ko−2の地質構成は,表層より深度4.0mまで沖積層が分布し,4.00m以深には低位段丘堆積物が分布する。

沖積層はKo−5同様,腐植物を混入したシルト層と,変質を受け軟質化した緑色岩と流紋岩礫を主体とする礫層の互層からなる。

低位段丘堆積物は,腐植物や木片を混入したシルト層と径1〜3cm程度の変質が著しい緑色岩,流紋岩および和泉層群起源の礫層からなる。沖積層と比較して固結度がやや高い。

当ボーリングでは,年代測定試料に富んでいるため,沖積層からKo−2−C1(GL−3.45m)の1試料と,低位段丘堆積物からは,Ko−2−C2(GL−5.25〜5.35m),Ko−2−C3(GL−11.4〜11.5m)の2試料の14C年代測定試料を採取し,Ko−2−C1からは5,970±30y.B.P(Beta−139082),Ko−2−C2からは16,580±90y.B.P(Beta−139083),Ko−2−C3からは>33,490 y.B.P(Beta−139084)の14C年代値が得られた。

Ko−3 孔口標高:EL=2.14m,掘進長:20.00m

Ko−3の地質構成は,表層より深度2.3mまで沖積層が分布し,2.3m以深には低位段丘堆積物が分布する。

沖積層は,腐植物を混入したシルト層と,変質を受け軟質化した緑色岩と流紋岩礫を主体とする礫層の互層からなる。

低位段丘堆積物は,径1〜7cmの変質し,軟質化した流紋岩,緑色岩,和泉層群起源の礫を主体とする礫層からなる。

当ボーリングでは,沖積層から,Ko−3−C1(GL−0.65〜0.70m)の1試料と,低位段丘堆積物から,Ko−3−C2(GL−2.00〜2.10m),のKo−3−C3(GL−1.40〜11.50m)の2試料の14C年代測定試料を採取し,Ko−3−C1からは5,920±30y.B.P(Beta−139085),Ko−3−C2からは5,690±30y.B.P(Beta−139086),Ko−3−C3からは27,220±80y.B.P(Beta−139087)の14C年代値が得られた。

Ko−4 孔口標高:EL=2.14m,掘進長:15.00m

Ko−4の地質構成は,表層より深度1.8mまで沖積層が分布し,2.3m以深には低位段丘堆積物が分布する。

沖積層は,腐植物を混入したシルト層と,変質を受け軟質化した緑色岩と流紋岩礫を主体とする礫層の互層からなる。

低位段丘堆積物は,径1〜20cmの変質し,軟質化した緑色岩礫,流紋岩礫を主体とする礫層からなる。

本地点の地層は,大きく沖積層と低位段丘堆積物に分類される。また,これらの地層は,表土と盛土を含めると上位より次の14層に細分類される。

表3−12−2 米湊断層尾崎地区の地質層序

沖積層(A層〜D層)は,シルト層、砂層および砂礫層からなり,シルト層と砂層には腐植物をかなり多く介在している。低位段丘堆積物(E〜M層)は,シルト層,半固結シルト層および礫層からなり,シルト層には腐植物を多く含んでいる。D層とE層の境界は,その層相や締まりの程度から不整合が想定される。