3−11−3 地形測量

米湊断層による撓曲は,伊予市米湊より東方では不明となる。このため,詳細な地形判読とともに地形横断測量によって,米湊断層の東方延長について検討を行った。

伊予市米湊から横田にかけてLV段丘面とAU沖積面との境界がほぼ予讃線に沿って北東−南西方向に延びている(図3−11−1)。LV段丘面は,扇状地性で勾配が約1°であるのに対し,AU沖積面は0.2°とほぼ水平である(図3−11−2)。

伊予市上野から宮下にかけての区間では,LV段丘面とAU沖積面との境界が伊予断層にほぼ平行に約2km連続する(図3−11−1)。上野測線ではLV段丘面が1.6°,AU沖積面が0.3°の傾斜(図3−11−3),音地測線ではLV段丘面が2.8°,AU沖積面が0.4°の傾斜(図3−11−4),宮下測線ではLV段丘面が1.9°,AU沖積面が0.3°の傾斜(図3−11−5)である。上野−宮下間のLV段丘面の傾斜が米湊−上三谷間と比べて大きいのは,行道山から流下する長尾谷川の扇状地の影響で,LV段丘面が特に撓曲しているのではないようである。

空中写真判読調査,地表踏査および地形横断測量による地表の地形地質調査では,米湊撓曲の延長有無について判読できない。

これは,米湊断層の模式地においてLU段丘面の撓曲は明瞭であるが,LV段丘面,沖積面の撓曲が不明瞭のため,LV段丘面およびA沖積面からなる調査地域でも,地表の撓曲が確認されにくいためと考えられる。

米湊断層の東方延長に関する1つの可能性としては,伊予断層と平行するLV面とA面との直線的な境界付近が考えられる。したがって,撓曲構造が沖積面下に埋没している可能性も考慮して,この地形境界を対象に反射法地震探査を実施するのが妥当と判断した。