(3)断層活動

1) イベントT(最新活動時期)

F1断層は,E層,G層,H層及びI層を切断もしくは北側隆起の変形を与えている。

東側法面では,F1断層をはさんでE層とG層が断層関係で接しており,F1断層を覆ってD層が水平に堆積している様子が認められる。

したがって,最新活動時期は東側法面から判断するとE層堆積後,D層堆積前と考えられる。

2) イベントU

東側法面では,G層とG層下位のH層がF2断層で接しており,F2断層も明瞭な変位を伴っている。また,F2断層に沿って,G層,H層中の扁平板状礫は再配列しており,F2断層を覆ってE層が水平に堆積している様子が認められる。

したがって,1つ前の活動時期はG層堆積後,E層堆積前と考えられる。

3) 地層の乱れから示唆される活動時期

本トレンチの断層直上のD層及びC層中には,堆積構造を示す礫の面構造(南傾斜)以外に,下位層から吹き上げられるような幾筋もの細礫の再配列が認められ,堆積構造の乱れが顕著である。細礫の再配列は上方へ断片的に連続するものの,一部ではC層上面まで認められる。このような堆積構造の乱れが生じた要因は,地震動による地層の流動化跡である可能性がある。なお,B層中の礫には堆積構造等の乱れは受けておらず,水平に堆積している。

したがって,C層堆積後,B層堆積前に,地震動を受けた可能性はある。

今後,歴史資料の見直しなどの検討が必要である。

本トレンチによって,池田断層は少なくとも2回以上の断層活動を生じていることが明らかとなった。活動履歴は以下のようである。

@イベントT(最新活動時期):E層堆積後,D層堆積前(ほぼ確実)

AイベントU(1つ前の活動時期):G層堆積後,E層堆積前

※   地震動によるイベント:C層堆積後,B層堆積前