(3)考 察

Uk−1では沖積層下の深度2.95〜3.30m,Uk−2では段丘礫層下の深度9.0〜9.9mで断層粘土が確認され,段丘堆積物基底,すなわち断層粘土上面に約6mの高度差(北側低下)が認められた。この断層粘土は,関川河床の断層破砕帯との比較や位置関係などから,1つの断層面であると判断でき,断層面は北へ約45°で傾斜していることが分かる。

粘土鉱物のX線回折から,この断層粘土には泥質片岩起源と思われる白雲母と泥岩起源と思われるイライトが混合している。

本地点の地質構造は,断層は低崖の裾にあり,上方では厚さ1.7mの砂混じり礫層,下方では断層面上に礫混じり砂,礫からなる沖積層と段丘礫層が分布している。堆積物には腐植物は含まれていない。

断層の存在は確実であるが,年代測定試料が認められないこと,断層を挟んで対比できる地層が分布しないことから,当地点でのトレンチ調査は断念した。