2−7−2 調査方法

トレンチ調査は,以下の手順で調査を行った。

@調査実施地点,調査用地の選定

断層位置が特定でき,かつ土地利用状況等を考慮し,トレンチ調査実施地点および調査用地を選定した。調査を実施した6トレンチ地点は,水田および休耕田である。このため,水稲の収穫後トレンチ調査を実施した。

Aトレンチの掘削

掘削箇所および掘削残土の保管場所を定めたうえで,所定の規模のトレンチを掘削した。また,法面整形が行えるよう,掘削面は平板に仕上げた。

B掘削法面の整形

掘削法面は人力で平滑に仕上げ,かつ,水洗いを行って地質観察を容易にした。

Cグリッドの設置

整形法面には,観察,スケッチの座標として水糸を用いて,1mグリッドを設けた。

D法面の地質観察および記録

掘削法面の地質は詳細に観察し,縮尺20分の1のスケッチ図,および解釈図を作成した。

E試料の採取,分析・測定

断層変位時期の年代推定に必要な試料(腐植土,木片,火山灰,土器片)を採取し,年代測定のための分析を行った。

Fトレンチの平板測量

平板測量により,トレンチの位置,形状および法面の位置,形状を示した縮尺 200分の1の平面図を作成し,用地平面図中に図示した。

G埋め戻し・用地の修復

今後の土地利用に支障をきたさないよう,掘削残土は十分転圧しながら埋め戻しおよび整地を行い,もとの状態に復旧した。

トレンチ調査地点は,石鎚断層では本郷地点,畑野断層では市木地点,上野田地点,寒川断層では長田地点,池田断層では上石床西地点,平山地点の計6地点からなる(図2−7−1図2−7−2)。

土居町本郷地点では,石鎚断層の最新活動時期を調べるため,中位段丘面と沖積面を境する逆向き低崖の延長上でトレンチ地点を選定した。

土居町市木地点では,畑野断層の最新活動時期を調べるため,断層が通ると推定される沖積面でトレンチ地点を選定した。

土居町上野田地点では,畑野断層の最新活動時期を調べるため,沖積面に認められる比高 0.8mの低崖(Bランクリニアメント)上でトレンチ地点を選定した。

伊予三島市長田地点では,寒川断層の最新活動時期を調べるため,断層が通ると推定される沖積面でトレンチ地点を選定した。

伊予三島市上石床西地点では,池田断層の最新活動時期を調べるため,開析谷(沖積面)に認められる比高0.6mの低崖(Aランクリニアメント)上でトレンチ地点を選定した。

川之江市平山地点では,池田断層の最新活動時期を調べるため,沖積面に認められる比高約1.3mの逆向き低崖の延長上でトレンチ地点を選定した。