4−6−1 川上断層

川上断層において第四紀後期の活動度の高い区間は,重信・北方・川上断層(西部)(川上断層西部)と小松断層(川上断層東部)に分けることができる。重信断層と小松断層では,ともに約1,000yBP以降の断層活動が認められ,さらに1つ前の活動時期も重複する。ただし,活動時期については数百〜数千年の幅があるため,両者が同じ地震を発生させたかどうかは速断できない。(図4−6−1)。

また,小松断層には重信断層で確認されていないイベントがあるため,川上断層はその西部と東部が別のセグメントとして活動した可能性が高い。桜樹屈曲部は圧縮性バリアに相当すると推定される。

小松断層と岡村断層との間には,明瞭な引張性バリアが存在する。引張性バリアは,セグメント境界を形成し,両断層は別個に活動すると考えられる。

なお,川上断層と伊予断層との活動時期については,伊予断層に対比できる資料がないため,判断できない。ただし,伊予断層と川上断層西部の分布形態から,それぞれ別のセグメントを構成するとみなすことができる。

以上の検討結果から,川上断層(岡田,1972)は,重信・北方・川上断層(西部)〔伊予市宮下〜丹原町相之谷〕と小松断層(丹原町臼坂〜西条市宮の下)が別々に活動する可能性が想定される。なお,桜樹屈曲が圧縮性バリアとなりこれらが連動する可能性も完全に否定はできないが,両側の活動間隔が異なることから,現時点では連動しないと判断している。

これらのセグメントの長さおよび松田式による地震規模(ML)は以下の通りである(図4−6−2)。

@重信・北方・川上断層(西部)〔伊予市宮下〜丹原町相之谷〕:21km(ML7.0)

A小松断層(丹原町臼坂〜西条市宮の下):15km(ML6.8)

図4−6−1 川上断層・岡村断層の活動履歴とセグメント区分

図4−6−2 川上断層・岡村断層のセグメント区分と地震規模