(3)小松断層(川上断層(東部)を含む)(川上断層東部)

本小セグメントにおいては,本調査の土居トレンチのほか,京都大学によって小松トレンチ,氷見トレンチの各トレンチ調査が実施されている。このうち,氷見トレンチにおける調査結果が学会報告されている(堤ほか,1998)。

これらの調査による活動履歴を図4−4−1に示す。

1) 最新活動時期:1,770y.B.P.以降

土居トレンチからは最新活動時期は,1,770±40y.B.P.以降となる。しかし,隣の休耕田で実施された,氷見トレンチとの層序の対比,1,170y.B.P.の14C年代値を示すT層下部は断層変位を受けている可能性が高い。したがって,最新活動時期は,1,170y.B.P.以降の可能性も考えられる。

この年代は,本トレンチの約2km北方の幸の木遺跡において発見された12世紀以降の噴礫の時代と矛盾しない。したがって,この噴礫が小松断層の活動に起因すると仮定すれば,小松断層の最新活動時期は12世紀以降の可能性がある。

2) 1つ前の活動時期:4,070〜1,770y.B.P.

1つ前の活動時期について,土居トレンチから,4,070〜1,770y.B.P.間にイベントが推定される。なお,堤ほか(1998)は,氷見トレンチから,4,040〜1,950y.B.P.間にイベントを設定している。

3) 2つ前の活動時期:4,000y.B.P.前後

2つ前の活動時期について,土居トレンチから4,000y.B.P.前後と推定される。

4) 3つ前の活動時期:5,050〜4,070y.B.P.

確実度は低いが,土居トレンチから5,050〜4,070y.B.P.間にイベントが推定される。

5) 活動間隔:約800〜2,000年

本トレンチにおける最新と2つ前の活動時期との2回分の活動間隔が,2,230年〜4,000年であることから,小松断層の活動間隔は約1,100〜2,000年と推定される。また,最新と3つ前の活動時期との3回分の活動間隔が,2,300〜5,000年であることから,約800〜1,600年と推定される。これらを総合すると,約800〜2,000年と評価される。

図4−4−1 トレンチ調査による伊予,川上,岡村断層の活動履歴