西条市土居地点のボーリング調査は，断層位置の絞り込み，トレンチ調査で把握できない深部層序の確認，累積変位の解明および年代測定試料を採取することを目的に，実施した。土居地点のボーリング位置を図３−３−５に、ボーリングによる地質断面図を図３−３−６に示す。地質断面図は，トレンチ調査の結果をも考慮して作成した。
（２） 調査結果
ボーリング調査は，地形判読結果および堤ほか（１９９８）のトレンチ調査結果を考慮し，調査間隔１０ｍで北からＤＯ−１，ＤＯ−２，ＤＯ−３の３本実施した。断層推定位置はＤＯ−２とＤＯ−３の間に推定される。各層の特徴は以下の通りである。
ＤＯ−１ 孔口標高：ＥＬ＝２．７６ｍ，掘進長：１２．００ｍ
・０〜０．２０ｍ
褐色砂質シルトからなる耕作土
・０．２０〜０．５０ｍ
褐色砂層。シルト分多く混じる細砂。本層はトレンチのＡ層に相当する。
・０．５０〜２．００ｍ
灰褐色〜黄茶色を呈するシルト混じり礫層。径１ｃｍ前後の亜円礫主体で部分的にシルト含有量の多いところがある。本層はＤ０−２の０．４０〜１．８０ｍの灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の１．２０〜２．５０ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＡ，ＣおよびＥ層に相当する。
・２．００〜２．８０ｍ
暗灰〜灰褐色シルト層。上位部は礫の混入が多く，全体的に腐植物および炭化物が 混じる。本層はＤ０−２の１．８０〜３．００ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＦおよびＧ層に相当する。
・２．８０〜３．２０ｍ
灰色のシルト混じる細砂層。本層はＤ０−２の３．００〜３．４０ｍの灰褐色シルト質砂層に，ＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＩおよびＪ層に相当する。
・３．２０〜５．３０ｍ
淡緑灰〜暗灰色シルト混じり礫層。本層はＤ０−２の４．７０〜６．１０ｍの灰褐色シルト質礫層に，ＤＯ−３の３．７５〜４．２５ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＮ層に相当する。礫は径３ｃｍ程度の砂岩礫主体で，部分的にシルト層および砂層を挟む。
・５．３０〜５．８５ｍ
暗青灰〜暗灰色シルト質礫層。本層はＤ０−２の４．７０〜６．１０ｍの灰褐色シルト質礫層に，ＤＯ−３の３．７５〜４．２５ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＮ層に相当する。砂岩，泥岩および凝灰岩礫が主体でクサリ礫が多い。また部分的に砂質シルト層を挟む。
・５．８５〜６．８０ｍ
灰色シルト質砂層。本層はＤ０−２の６．１０〜６．４０ｍの灰色シルト質層に，ＤＯ−３の４．２５〜４．８５ｍの暗灰褐色粘土およびシルト混じり砂層に相当する。砂は細〜微細砂である。
・６．８０〜８．４０ｍ
灰〜淡緑灰色褐色シルト混じり礫層。本層はＤ０−２の６．４０〜８．８０ｍのシルト質礫〜シルト混じり礫層に，ＤＯ−３の４．８５〜５．７０ｍの暗灰褐色シルト混じり礫層に相当する。径２ｃｍ程度の砂岩礫主体で基質はシルト質砂である。また少量のクサリ礫を含む。
・８．４０〜８．７０ｍ
暗褐色を呈する小礫を多く含むシルト層。本層はＤ０−２の８．８０〜９．４５ｍの暗褐色シルト層に，ＤＯ−３の５．７０〜６．８０ｍの暗灰色粘土およびシルト層に相当する。
・８．７０〜１０．８０ｍ
暗灰〜緑青灰色シルト混じり礫層。本層はＤ０−２の９．４５〜１１．１０ｍの灰褐色シルト混じり礫層に，ＤＯ−３の６．８０〜８．８０ｍの灰色シルト質礫層に相当する。径３ｃｍ程度の礫が主体である。
・１０．８０〜１１．３０ｍ
暗褐色砂混じりシルト層。本層はＤ０−２の１１．１０〜１１．４５ｍの暗褐色シルト層に，ＤＯ−３の８．８０〜９．８０ｍの灰色シルト質砂層に相当する。極少量の砂を混じえるシルトで，下位部で礫の混入が多くなる。
・１１．３０〜１２．００ｍ
暗灰色シルト質礫層。本層はＤ０−２の１１．４５〜１２．００ｍの淡緑灰色シルト混じり礫層に，ＤＯ−３の９．８０〜１０．００ｍの灰色シルト質礫層に相当する。礫は径２ｃｍ程度が主体で，基質はシルト質砂である。
ＤＯ−２ 孔口標高：ＥＬ＝２．７６ｍ，掘進長：１２．００ｍ
・０〜０．４０ｍ
灰色砂質シルトからなる耕作土。
・０．４０〜１．３０ｍ
黄灰色シルト質礫層。本層はＤ０−１の０．２０〜２．００ｍの灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の１．２０〜２．５０ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＡ，ＣおよびＥ層に相当する。径２ｃｍ程度の礫が主体であり，部分的に多量のシルトが含まれる。
・１．３０〜１．８０ｍ
灰色シルト質礫層。本層はＤ０−１の１．４０〜２．００ｍの灰色シルト混じり礫層に，ＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＦおよびＧ層に相当する。
・１．８０〜３．００ｍ
暗灰色砂質シルト層。本層はＤ０−１の２．００〜２．８０ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＦおよびＧ層に相当する。全体的に砂質であり，部分的に腐植物混じえる。
・３．００〜３．４０ｍ
灰褐色シルト質砂層。本層はＤ０−１の２．８０〜３．２０ｍの灰色砂層に，ＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＩおよびＪ層に相当する。
・３．４０〜３．８０ｍ
灰褐色シルト質礫層。本層はＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＬ層に相当する。径１ｃｍ程度の礫が主体である。
・３．８０〜４．００ｍ
灰褐色シルト質砂層。本層はＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＬ層に相当する。
・４．００〜４．３０ｍ
灰褐色シルト質礫層。本層はＤＯ−３の２．５０〜３．７５ｍの暗褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＬ層に相当する。
・４．３０〜４．７０ｍ
灰褐色砂層。本層はトレンチのＭ層に相当する。径１ｃｍ程度の礫主体である。
・４．７０〜５．５０ｍ
灰褐色シルト質礫層。本層はＤ０−１の５．３０〜５．８５ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の３．７５〜４．２５ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＮ層に相当する。砂岩，泥岩および凝灰岩礫が主体でクサリ礫が多い。また部分的に砂質シルト層を挟む。
・５．５０〜６．１０ｍ
灰褐〜淡緑灰色褐色シルト質礫層。本層はＤ０−１の５．３０〜５．８５ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の３．７５〜４．２５ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＮ層に相当する。砂岩，泥岩および凝灰岩礫が主体でクサリ礫が多い。また部分的に砂質シルト層を挟む。
・６．１０〜６．４０ｍ
灰色シルト層。本層はＤ０−１の５．８５〜６．８０ｍの灰色シルト質砂層に，ＤＯ−３の４．２５〜４．８５ｍの暗灰褐色粘土およびシルト混じり砂層に相当する。
・６．４０〜７．４０ｍ
灰褐色シルト質礫層。本層はＤ０−１の６．８０〜８．４０ｍの灰色シルト質砂層に，ＤＯ−３の４．８５〜５．７０ｍの暗灰褐色粘土およびシルト混じり砂層に相当する。
・７．４０〜７．９０ｍ
灰色砂層。径１ｃｍ程度の礫主体で，基質にシルト分多く含む。
・７．９０〜８．８０ｍ
灰褐色シルト混じり礫層。層はＤ０−１の６．８０〜８．４０ｍの灰色シルト質砂層に，ＤＯ−３の４．８５〜５．７０ｍの暗灰褐色粘土およびシルト混じり砂層に相当する。
・８．８０〜９．４５ｍ
暗褐色シルト層。本層はＤ０−１の８．４０〜８．７０ｍの暗褐色シルト層に，ＤＯ−３の５．７０〜６．８０ｍの暗灰色粘土およびシルト層に相当する。全体的に小礫が混じる。
・９．４５〜１１．１０ｍ
灰褐〜淡緑灰色シルト混じり礫層。本層はＤ０−１の８．７０〜１０．８０ｍの暗灰色シルト混じり礫層に，ＤＯ−３の６．８０〜８．８０ｍの灰色シルト質礫層に相当する。径３ｃｍ程度の礫が主体 である。
・１１．１０〜１１．４５ｍ
暗褐色シルト層。本層はＤ０−１の１０．８０〜１１．３０ｍの暗褐色シルト層に，ＤＯ−３の８．８０〜９．８０ｍの灰色シルト質砂層に相当する。極少量の砂を混じえるシルトで，下位部で礫の混入が多くなる。
・１１．４５〜１１．８０ｍ
灰色砂層。本層はＤ０−１の１１．３０〜１２．００ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の９．８０〜１０．００ｍの灰色シルト質礫層に相当する。礫は径２ｃｍ程度が主体で，基質はシルト質砂である。
・１１．８０〜１２．００ｍ
淡緑灰色シルト混じり礫層。本層はＤ０−１の１１．３０〜１２．００ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−３の９．８０〜１０．００ｍの灰色シルト質礫層に相当する。礫は径２ｃｍ程度が主体で，基質はシルト質砂である。
ＤＯ−３ 孔口標高：ＥＬ＝３．３５ｍ，掘進長：１０．００ｍ
・０〜０．２０ｍ
褐色礫混じり砂質シルトからなる耕作土
・０．２０〜１．２０ｍ
黄褐灰色礫混じりシルト質砂層。本層はトレンチのＢ層に相当する。砂は細から中砂で径１ｃｍ程度の砂岩礫を含む。
・１．２０〜１．５０ｍ
灰褐色礫層。本層はＤ０−１の１．４０〜２．００ｍの灰色シルト混じり礫層に，ＤＯ−２の０．４０〜１．８０ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＣに相当する。
・１．５０〜２．５０ｍ
暗褐色砂混じりシルト層。本層はＤ０−１の１．４０〜２．００ｍの灰色シルト混じり礫層に，ＤＯ−２の０．４０〜１．８０ｍの灰褐色礫層に相当し，またトレンチのＥ層に相当する。
・２．５０〜３．７５ｍ
暗褐色シルト質砂層。本層はＤ０−１の２．８０〜３．２０ｍの灰色砂層に，ＤＯ−２の１．８０〜４．３０ｍの灰褐色シルト質砂層に相当し，またトレンチのＩ，ＪおよびＬ層に相当する。
・３．７５〜４．２５ｍ
暗灰色礫層。本層はＤ０−１の３．２００〜５．３０ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−２の４．７０〜６．１０ｍの灰褐色シルト質礫層に相当し，またトレンチのＮ層に相当する。砂岩，泥岩およ び凝灰岩礫が主体でクサリ礫が多い。
・４．２５〜４．５０ｍ
暗褐色粘土層。本層はＤ０−１の５．８５〜６．８０ｍの灰色シルト質砂層に，ＤＯ−２の６．１０〜６．４０ｍの暗灰褐色粘土およびシルト混じり砂層に相当する。
・４．５０〜４．８５ｍ
暗灰色シルト混じり砂層。本層はＤ０−１の５．８５〜６．８０ｍの灰色シルト質砂層に，ＤＯ−２の６．１０〜６．４０ｍの暗灰褐色粘土およびシルト混じり砂層に相当する。
・４．８５〜５．７０ｍ
暗灰色シルト混じり礫層。本層はＤ０−１の６．８０〜８．４０ｍの灰色シルト質砂層に，ＤＯ−２の６．４０〜８．８０ｍの灰褐色シルト混じり礫層に相当する。
・５．７０〜６．１０ｍ
暗灰色シルト層。本層はＤ０−１の８．４０〜８．７０ｍの暗褐色シルト層に，ＤＯ−２の８．８０〜９．４５ｍの暗灰色粘土およびシルト層に相当する。全体的に小礫が混じる。
・６．１０〜８．８０ｍ
灰〜暗青灰色シルト質礫層。本層はＤ０−１の８．７０〜１０．８０ｍの暗灰色シルト混じり礫層に，ＤＯ−２の９．４５〜１１．１０ｍの灰色シルト混じり礫層に相当する。径３ｃｍ程度の礫が主体である。
・８．８０〜９．８０ｍ
灰色シルト質砂層。本層はＤ０−１の１０．８０〜１１．３０ｍの暗褐色シルト層に，ＤＯ−２の１１．１０〜１１．４５ｍの暗褐色シルト層に相当する。極少量の砂を混じえるシルトで，下位部で礫の混入が多くなる。
・９．８０〜１０．００ｍ
灰色シルト質礫層。本層はＤ０−１の１１．３０〜１２．００ｍの暗灰色シルト質礫層に，ＤＯ−２の１１．８０〜１２．００ｍの灰色シルト質礫層に相当する。礫は径２ｃｍ程度が主体で，基質はシルト質砂である。
（３）累積変位量
図３−３−６によれば，当地点の地層は砂・シルト質土層と礫質土層の互層で構成されている。断層は，最上部の礫層（Ａ〜Ｃ層）の基底部およびＮ層（礫層）の基底部にＤｏ−２とＤｏ−３の間でそれぞれ約１ｍ，２．５ｍの変位（北下がり）が認められる事から，Ｄｏ−２とＤｏ−３の間に推定できる。なお，鍵層となる腐植質土層は，Ｅ，Ｉ，Ｌ層の３層であるが，腐植土層の連続性はあまり良くない。