3−2−6 解  析

(1) 概  要

川内町北方地点では,南向きの低断層崖を挟んで,3測線の地形測量を実施するととも に代表測線(A)で,リニアメントを挟んで2本のボーリング調査を実施した。ボーリン グコアから採取した各層の14C年代測定試料から当地点の堆積物の年代を求め,北方断層 の鉛直方向の平均速度を検討した。

(2) 活動履歴

リニアメントを挟んで3本の地形測量を行った結果,LI面形成後の累積変位量は11m (図3−2−6),LU面形成後の累積変位量は6m(図3−2−5),AT面形成後の累積変位 量は2mである(図3−2−7)。図3−2−9の地形測量から求めた段丘面形成後の変位量によれば,LT面形成以降の鉛直変位量が累積していることが伺える。

上記事項を詳細に検討するため,リニアメントを挟んで北側がLT面,南側がAT面で あるA測線でボーリング調査,14C年代測定を行った。リニアメントを挟んで分布する南 北の鍵層(上位からC1,C2,C3)の14C年代値とその高度差は,図3−2−8に示すように,B層上面の14C年代値は約1.2万年前でその高度差は6m,B層下面の14C年代値は約3万年前でその高度差は7m,D層下面の14C年代値は約4.5万年前でその高度差は9mである。

地層の年代値と鉛直変位量の関係を,図3−2−10にとりまとめて示す。図3−2−10によれば,対比した地層が同じ速度で堆積したと仮定すると,北方断層の鉛直方向の平均変位速度は0.20m/1,000年程度と推定される。