3−1−3 反射法地震探査

本地区では,地質構造と断層位置を推定するために,リニアメントにほぼ直交する方向で,測線長650m,受振点間隔5mの反射法地震探査を実施した。測線位置を図3−1−6に,解析結果を図3−1−7に示す。

測線中央CMP140付近を境に記録は大きく変化する。すなわち,これより南側は標高−550mまできれいな成層構造が認められるのに対して,北側は深度約150m(標高−110m)の反射面以深は,反射が不明瞭となる。このCMP140における境界はほぼ垂直で,非常に明瞭なものであるが,表層の速度層には南北で大きな差はなく,表層条件による見かけのものとは考えられない。従って,高角度の横ずれ断層によるものと考えられる。

この断層はCMP140付近以外に,地表でCMP105に延びる分岐が推定され,屈折法による表層解析でもこの付近にやや低速度の部分が認められる。しかしながら,現地踏査では,これに対応する変位地形は見出せなかった。

CMP140より北側の深度150m(標高−110m)の反射面は,速度解析では不整合面に特有の回折波による速い見かけ速度が認められ,またこれ以深に明瞭な反射による速度値が認められないことから,基盤岩の上面と推定される。なお,この測線の北端より北西約600mの地点のボーリングで,基盤岩深度は地表下約200mと確認されており,この反射面がそれに対応するものと考えられる。

CMP140以南の基盤岩上面は,反射断面では測線長が短いため判断が難しいが,速度解析では深度430m付近(2,733m/sec,標高−380m)の強い反射面が,基盤岩上面と推定される。

したがって,鮮新統〜更新統の基底面は,断層を挟んで約270mの高度差(南側低下)が推定される。